2006 Fiscal Year Annual Research Report
住民とのパートナーシップによるコミュニティ・エンパワメントの前提・実現要因の解明
Project/Area Number |
18791715
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
細谷 紀子 千葉大学, 看護学部, 助手 (60334182)
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Keywords | パートナーシップ / コミュニティ・エンパワメント / 保健師 / 住民 |
Research Abstract |
本研究の目的は、市町村に所属する保健師が行う保健福祉活動において、住民とのパートナーシップによりコミュニティ・エンパワメントが引き起こされるための前提・実現要因を解明することである。 本年度は、保健福祉活動の一つとして、保健計画策定及び推進に関わる活動を取り上げ、調査を実施した。方法は、市町村の健康増進計画策定及び推進を担当した保健師等の保健専門職と参加した住民3グループずつ計15名に対し面接によるインタビュー調査を行い、計画策定及び推進への参加経験における心理過程を調べた。 結果、3グループのうち1つのグループが保健師と住民とのパートナーシップによりコミュニティ・エンパワメントがもたらされていることを確認した。その状態は、保健師は「困難感」など否定的な心理過程があったものの、「気づき」を得て、「信念・方針」を確かなものにし、「意欲」や「感謝」、「称賛」を現し、「達成感」の内容から目に見える成果を出していることが確認できた。住民は「信念・方針」「効力感」をもち、さらに成果を受けて「満足感」や次なる「意欲」をもっていた。 保健計画策定及ぴ推進において保健師と住民とのパートナーシップによるコミュニティ・エンパワメントが引き起こされるためには、保健師の力を高めるための前提要因として、「自身の客体視による問題の意識化とよい面の自覚」、「新しい視点の発見」が必要と考えられた。さらに、その前提要因がもたらされるための「自分の考え方や活動を振り返る機会」、「現状を超える範囲の関係を持てる機会」、「保健専門職同士が互いに褒め合い高め合えるような関係をつくる」という実現要因が必要と考えられた。保健師の力が高まり、住民参加の成果を目に見えた形で計画へ反映させ、実行をすることが住民の力を高め、.計画推進やさらなる保健師の力の高まりにつながるという関係があると考えられた。
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