2008 Fiscal Year Annual Research Report
高度医療を担う特定機能病院の看護師への心理的サポート体制構築のための基礎的研究
Project/Area Number |
18791719
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
古城門 靖子 Kobe University, 医学部・附属病院, 看護師 (40379441)
|
Keywords | リエゾン精神専門看護師 / コンサルテーション / 病棟文化 / 特定機能病院 / 看護師の抱える困難さ / 教育的支援 |
Research Abstract |
高度医療を提供している特定機能病院に研究者がリエゾン精神専門看護師(以下LN)として実践を行いながらフィールドワークを行った。その中で、研究者は看護師からのコンサルテーションに応じる活動を中心に、病院の変化、病棟の変化、看護師の変化の視点で、リエゾン精神専門看護師の介入の意味を分析した。 分析の結果、看護師が行うリエゾン精神専門看護師へのコンサルテーション活動は特定機能病院が急性期の高度な医療を提供する、専門性の高い、そして、経営効率の高い病院へと生まれ変わる中で、病棟文化が変化することに影響され、変化することが明らかとなった。 つまり、看護師がLNへのコンサルテーション行動を行う動機付けとなっていたのは、LNからの教育的支援を受け、自らの成長につながった経験をもつ看護師や病棟管理者が病棟内の看護師チームで行われる話し合いの場でLNへのコンサルテーションを働きかけるという病棟の文化であった。しかし、病院の急激な変化に伴う病棟役割の急速な変化や、それに伴う看護師の異動などでの病棟構成メンバーの変化で、病棟で培われてきた話し合いの文化が危機にさらされた。そしてその結果、LNを活用するきっかけを失った病棟では、LNの支援を受けることができない事態に陥った。しかし、その間に自分たちの看護の質の低下や、自分たちが精神的に危機にさらされたと気付いた看護師が中心となって再度話し合いの文化が復活しLNへのコンサルテーション活動を再開できていた。 従って、高度医療を提供し、急激な変化を強いられ、多くの困難さを抱える特定機能病院に勤務する看護師が、LNによる支援を十分に活用するには、自分たちの看護を振り返ることのできる場が確保され、保証される必要があることが明らかとなった。
|