2006 Fiscal Year Annual Research Report
訪問看護師による精神疾患患者の家族支援技術の向上をめざした援助ガイドラインの開発
Project/Area Number |
18791723
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
渡邉 久美 岡山大学, 医学部, 助手 (60284121)
|
Keywords | 家族 / 精神看護 / 地域生活支援 / 訪問看護 / 清潔ケア / 身体ケア / ケアの拒否 / 患者-看護師関係 |
Research Abstract |
精神科領域を専門としない一般の訪問看護師は、精神科領域の特殊性に戸惑い、家族との関わりに苦慮する状況があることから、本年度はその実態と必要とされる看護技術について明らかにした。 困難事例を把握するため、O県下の訪問看護連絡協議会に所属する訪問看護ステーション116施設の常勤訪問看護師を対象に、郵送法質問紙調査を実施し、49施設から回答を得た(回収率42.2%)。過去に対応困難と感じる精神疾患患者があった施設は14施設で、現在ある施設は6施設(11事例)であった。過去に利用家族に対応困難と感じる精神疾患患者(認知症を含む)があった施設は11施設で、現在ある施設は12施設(18事例)であった。 訪問看護ステーションに事例提供を依頼し、協力が得られた6施設10名の訪問看護師から、12事例とのかかわりについて、半構成質問紙に基づいてデータ収集を行った。逐語録を分析データとして問題の特性毎に分類した結果、家族システムとして、(1)利用者が精神疾患を有する事例、(2)主介護者が精神疾患を有する事例、(3)家族内意思決定者が精神疾患を有する場合、(4)利用者-家族とも精神疾患を有する事例など様々なパターンが存在した。(1)の対応困難な状況として、「清潔ケアの拒否」「受療・治療の拒否」「奇声、暴言・暴力」「幻聴の訴え」「本人の望む生活行動が危険を伴うこと」などがあげられた。(2)(3)(4)の対応困難な状況としては、「家族の求める細かな指示に応える必要性」「家族が望む枠内でのケア実践の制限」があげられた。 これらの対応困難事例への訪問継続過程において、訪問看護師は対象の生活史を尊重したコミュニケーションを図りながら関係性を徐々に構築し、目的とするケアの実施につなげていたが、(1)では、身体ケアを通じて大きな関係性の進展がみられたエピソードがあった。対象に脅威を与えない範囲での身体ケアの積み重ねの有効性が示唆された。
|