2007 Fiscal Year Annual Research Report
訪問看護師による精神疾患患者の家族支援技術の向上をめざした援助ガイドラインの開発
Project/Area Number |
18791723
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
渡邉 久美 Okayama University, 大学院・保健学研究科, 助教 (60284121)
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Keywords | 家族看護 / 精神看護 / 地域生活支援 / 訪問看護ステーション / 訪問看護師 / 精神障害者 / 連携システム / 事例検討 |
Research Abstract |
一般訪問看護師の利用者および家族の精神疾患による対応困難状況への対応について、本年度は、現在進行中の困事例の検討会と前年度明らかにした困難状況に対する精神科領域の医療専門職への面接調査を行った。検討会は精神科領域での経験豊富な地域保健師数名と地域在宅領域を専門とする大学教員で構成した。面接は、精神科領域を専門とする看護師及び医師から意見を求めた。 事例検討では、家族の要望によりA氏の入浴ケア目的で訪問導入となったが、認知症であるA氏が2年にわたり訪問時の入浴ケアを拒否したため困難感を極めた事例を取り上げた。その結果、当事者の生活史から自尊心を高める実践をし、活動範囲も自宅界隈から地域に広げ、表情の変化を引き出し、洗髪等の清潔ケアを実施できていることが確認された。面接調査では、家族のやり方を尊重して服薬指導に踏み込めない事例Bの状況に対して、看護師は家族の薬への認識を把握しているため、さらに服薬状況に応じた患者の状態を家族から把握して医師と連携できれば、症状の悪化から入退院の繰り返しを防げる可能性があることが示唆された。面接結果を集約すると、訪問看護で対応できる範囲と病院施設等で対応することの仕分けが必要であり、特に病院施設では相性のよいスタッフの存在やケア実施時間の工夫などが行い易い状況があることも指摘された。 以上より、家族支援のガイドライン作成の方向性として、家族の要求の患者にとっての妥当性を見極め、専門職としてスモールステップでの目標設定を提示し、小さな成果を共有しながら訪問契約時の目標設定を適宜修正することは家族支援として有効であると思われた。訪問看護師の対応困難感に対しては、精神症状を個々の訪問看護師の努力で改善することを目標とせず、訪問看護で関与するレベルを定め、対象の領域に侵入しない関わりの中で捉えた微細な糸口から、関係形成を深めていくことの重要性が導かれた。
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