2006 Fiscal Year Annual Research Report
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18791726
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
高橋 郁子 山口大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (40379946)
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Keywords | 高齢者施設 / 特別養護老人ホーム / 介護老人福祉施設 / 介護老人保健施設 / 感染症予防対策 / 感染症患者 / 保因者 / 高齢者 |
Research Abstract |
本年度は来年度以降の調査のための情報収集と基礎データとなる山口県内の高齢者施設の感染症予防対策の現状を調査した。 先行研究の文献を収集では、既存の文献を収集・分析し、主要な研究に対しては研究者に連絡を取り、情報交換と資料の収集を行った。また先行研究を参考に来年度実施する調査票の調査項目と調査方法の検討を行っている。 調査の実施では、高齢者施設の感染症予防対策と感染症患者・保因者の受け入れの現状を調査するため、高齢者施設での感染症発生状況、感染症予防対策実施状況などの調査項目を抽出、整理し調査票を作成し実施した。この結果は以下の通りである。 調査は2006年12月14日にWAMNETに登録されていた山口県内の介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)87施設と介護老人保健施設60施設の合計147施設を対象に実施した。調査は平成19年1月に各施設の施設長を対象に自記式調査票を送付し、記入後返信用封筒にて返送をお願いした。調査票の回収率は56.5%、有効回答率は55.1%であった。調査に協力が得られた施設は半数ほどであり、山口県内の感染症発生状況や感染症患者・保菌者の受け入れの現状として捉えるには十分な数とは言えないが大学職員が行う調査への協力としては多くの協力が得られたと考える。 感染症の発生状況としてはインフルエンザ、結核、感染性胃腸炎、腸管出血性大腸菌感染症、疥癬、レジオネラ症、肺炎球菌感染症、MRSA感染症、緑膿菌感染症、B型感染、C型肝炎、HIV、AIDSに関して調査を行った。その結果山口県の高齢者施設での集団発生の多い感染症はインフルエンザ(63.0%)、感染性胃腸炎(53.1%)の発生が多く、これは他の調査と同様の結果である。一方、3番目に疥癬(21.0%)の発生が多かったが、これは他の調査に比べて低い結果であった。感染症患者・保因者の受け入れについては、MRSA保菌者を受け入れていない施設は9.9%あり、受け入れている施設でも一般の入所者と対応を区別していると34.6%が回答した。結核患者の受け入れは、抗結核薬服薬終了後に可能が43.2%、抗結核薬服薬終了後も不可能が6.2%であった。施設の感染症予防対策ではB型肝炎のワクチン接種をしている施設は17.3%、結核予防対策の二段階ツベルクリン反応の実施は14.8%、N95マスクの常備している施設は21.0%、手指消毒剤を携帯している施設16.0%であった。今後高齢者施設にこれらの対策を進めていく必要性があることがわかった。今年度は単純集計のみの結果であるが、山口県の高齢者施設の感染症予防対策と感染症患者・保因者の受け入れの現状を把握することができた。
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