2006 Fiscal Year Annual Research Report
介護予防活動における尿失禁予防・改善のための看護介入のあり方に関する研究
Project/Area Number |
18791748
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
中田 晴美 東京女子医科大学, 看護学部, 助手 (90385469)
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Keywords | 尿失禁 / 介護予防 / 老年症候群 / 運動器の機能向上 / 地域づくり |
Research Abstract |
本研究は、介護予防を目的とした尿失禁の予防・改善のための有効な介入方法の開発及び、介護予防を推進するための地域づくりの方策について検討することを目的としている。平成18年度は、高齢者における尿失禁の現状及び効果的な介入方法を追求するために文献等から検討した。さらに、介護予防施策対象者としての尿失禁リスク者の現状を把握した。 1)文献検討 尿失禁は高齢者に多大な影響を与え、身体・認知機能の低下をもたらすことから、近年では、尿失禁を老年症候群の一つとして捉えるようになった。在宅高齢者の尿失禁有病率は約2割であり、男性よりも女性の方が尿失禁有病率が高い。特に女性に多い腹圧性尿失禁に対する介入方法としては、骨盤底筋訓練が広く知られており改善率は約6〜8割である。今年度の介護保険法改正で、介護予防事業における「運動器の機能向上」プログラムでは、尿失禁がある者に対し改善に効果的な筋肉群のトレーニングを実施するよう位置づけられたが、転倒予防に特化したトレーニングに偏っている。 2)介護予防施策としての尿失禁リスク者の現状 老年症候群を発見するための「おたっしゃ21」健診を受診した、A県の65歳以上の高齢者384名のデータを分析したところ、尿失禁のリスクがあると判定された者は、男性約2割、女性約4割であった。さらに、尿失禁のリスクがある者とない者の体力測定のデータを比較したところ、尿失禁リスクがある者の方が開眼片足立ちと握力のデータが有意に低かった(p<0.001)。以上より、尿失禁のリスクがある者に対しては、尿失禁の改善のみならず、全身の運動機能の向上を図るような働きかけも必要であることがわかった。 平成19年度は、今年度の知見を基に、介護予防を目的とした尿失禁の予防・改善のための有効なプログラム方法及び介護予防を推進していくための地域づくりにおける介護職のあり方について検討していく予定である。
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