2006 Fiscal Year Annual Research Report
就労と介護の両立を図る家族介護者へのエンパワメント・アプローチに関する研究
Project/Area Number |
18791749
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
五十嵐 惠子 東邦大学, 医学部, 講師 (40328406)
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Keywords | 家族介護者 / エンパワメント / セルフヘルプ / 家族会 |
Research Abstract |
今年度は、エンパワメントの概念の整理と、家族会を中心とした医療施設・地域等における家族介護者支援の現状把握を行った。尚、実施計画に挙げた、家族介護者へのニーズ調査は、業務との関係で実施できなかった。 1.概念整理:エンパワメント理論は、1980年代の公民権運動やフェミニズム運動の中で発展し、発展途上国の開発、医療・介護、教育、ジェンダー、企業経営など多様な分野で多義的に用いられている概念である。「力をつける」「能力の向上」「能力を引き出す」等の意味で用いられることが多く、コックスとパーソンズによれば、(1)態度・価値・信念、(2)共同的体験の確認、(3)批判的思考のための知識と技能、(4)行為(アクション)という要素及びプロセヌからなると述べられている(小松源助監訳「ソーシャルワーク実践におけるエンパワーメント-その理論と実際の論考集-」相川書房、2000)。同じような経験や問題を抱えている人々が、互いに理解しあい、助け合いながら問題の解決を目指す活動であるセルフヘルプグループ(家族会)は、エンパワメントを目的にしているものと解釈できる。 2.家族会実態調査:東京都を中心として現存している家族会のうち、行政、介護老人保健施設、社会福祉協議会、在宅支援センターが主催する家族会、介護者支援ネットワーク事業を行うNPO法人の計8団体を対象として、担当者への聞き取り調査、参加観察、参加者への聞き取りを実施した。全団体が特に就労と介護を両立している家族介護者への支援は想定しておらず、自営業を除き就労を継続する家族介護者の参加は困難であるため、就労と介護を両立する家族介護者の特性を踏まえた家族介護者組織の構築が必要であることが確認できた。 以上の結果を踏まえ、次年度は就労と介護の両立を行う家族介護者を対象としたニーズ調査、家族介護者組織の立ち上げ、概念枠組みと実施評価の測定方法の検討を行っていく予定である。
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