2008 Fiscal Year Annual Research Report
加齢変化が嗅上皮の構造、細胞動態及び傷害後の再生能に及ぼす影響の分子生物学的解析
Project/Area Number |
18799002
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
近藤 健二 The University of Tokyo, 医学部附属病院, 講師 (40334370)
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Keywords | 嗅神経細胞 / 老化 / 再生 / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
1. 加齢に伴うマウス嗅神経上皮のアポトーシスの頻度と分布の変化の解析 【方法】生後10日から16ヶ月の各齢マウスを固定、鼻腔組織試料を作成した。切片にTUNEL染色と抗OMP抗体による免疫染色の2重染色を行って、単位上皮長あたりのTUNEL陽性細胞の数およびそのOMP陽性細胞層との位置関係を検討した。【結果】加齢に伴って単位上皮長あたりのTUNEL陽性細胞の数は減少した。また加齢に伴ってTUNEL陽性細胞はOMP陽性細胞層下層に限局していく傾向がみとめられた。【考察】生理的加齢に伴って基底細胞の増殖と同様にアポトーシスの頻度も減少していくことが示された。また加齢に伴って成熟嗅神経細胞層の細胞の入れ替わりが減少することが示唆され、これは1加齢に伴って成熟嗅神経細胞の寿命がのびる可能性を示している。 2. エストロゲンによる嗅粘膜の保護機能に関する検討 【方法】生後2ヵ月の雌マウスを正常卵巣群、卵巣摘出群、卵巣摘出+エストロゲン投与群、の3群、雄マウスをエストロゲ非投与群、エストロゲン投与群の2群に分け飼育を開始した。エストロゲン投与群では週1回持続型エストロゲン製剤の筋注を行い、それ以外の群では溶剤であるゴマ油のみの筋注を行って飼育中である。現在3か月が経過しており、今後さらに6か月飼育ののち嗅覚行動実験を行って固定、嗅粘膜の変性の程度や酸化ストレス物質の蓄積の程度を組織学的に評価する予定である。 3. 加齢に伴う嗅粘膜への酸化ストレス物質の蓄積の検討 【方法】過酸化脂質の細胞内蓄積であるリポフスチンの嗅粘膜における分布を生後10日齢から16ヶ月齢の各齢マウスの鼻腔試料を用いて組織学的に検討した。【結果】リポフスチンは3か月齢以降のマウス嗅部の背内側に主として分布しており、特に支持細胞の基底層に蓄積していた。
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