2006 Fiscal Year Annual Research Report
甲状腺ホルモンによるキナーゼカスケード活性化の生理的意義
Project/Area Number |
18799004
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Research Category |
Grant-in-Aid for Special Purposes
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
曹 霞 名古屋大学, 環境医学研究所, 助手 (70432218)
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Keywords | 甲状腺ホルモン(T3) / nongenomic作用 / 甲状腺ホルモン受容体 / 神経細胞 / アポトーシス / シグナリング伝達 |
Research Abstract |
1)神経細胞におけるT_3によるPI3K-Akt/PKBシグナリングカスケードの活性化: 中枢神経系では主としてTRαが発現しているため、恒常的にTRαを過剰発現する神経細胞株N2aTRαを用いて実験を行った。T_3は短時間(10分以内)にAkt/PKBをリン酸化すると共に、その下流のGSK3βとBADをリン酸化した。これらのリン酸化はPI3K阻害剤であるwortmannin(2μM)前処理により減弱した。次に、N2aTRα或いはTRαをトランスフェクトしたHEK293細胞で、T_3刺激前後のPI3K活性を測定した。T_3刺激によりそれぞれの細胞でPI3K活性は約1.7倍と18倍に増加した。これらの結果から、T_3は神経細胞においてもPI3Kを介してAkt/PKBを活性化することが明らかになった。 2)T_3により活性化されたPI3K-Akt/PKBシグナリングカスケードの生理的意義: 血清除去によるアポトーシスをフローサイトメトリとTUNEL法により検討すると、T_3非刺激群では血清除去後3日で約28%のN2aTRα細胞がアポトーシスを起こしたのに対し、T_3群では約15%と有意に抑制された。血清除去後のAkt/PKB、BAD、GSK3βのリン酸化を検討すると、T_3群では三者の持続的なリン酸化が認められたのに対し、T_3非刺激群では認められなかった。PI3K-Akt/PKBとその下流の蛋白のリン酸化はアポトーシスの抑制に重要であることが知られている。以上の結果から、T_3はAkt/PKBの活性化を介してBAD、GSK3βを抑制し、神経細胞のアポトーシスに抑制的に働くことが示された。
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Research Products
(5 results)