2007 Fiscal Year Annual Research Report
新しく発見したボツリヌスD型毒素受容体PEと毒素との相互作用の解析
Project/Area Number |
18799011
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
塚本 健太郎 Fujita Health University, 医学部, 助教 (80434596)
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Keywords | ボツリヌス菌 / 神経毒素 / 受容体 / ガングリオシド / ホスファチアジルエタノールアミン |
Research Abstract |
本研究では、ボツリヌスC型およびD型神経毒素の受容体認識機構について解析を行い、受容体認識に関わるアミノ酸残基を明らかにした。C型毒素の重鎖C末端領域(Hc)にはA型やB型で報告されているガングリオシド結合領域が一部保存されており、結合に関与することが示唆された。実際にこの領域のアミノ酸残基の点変異体を作製し結合活性を調べたところ、W1257(1257位のトリプトファン)、Y1258、G1270、H1282が受容体結合に関与していることがわかった。特にH1282はC型にのみ特異的に存在するアミノ酸残基であり、ガングリオシドへの親和性を高める要因の一つであると考えられる。一方、D型については、2種の異なる結合活性をもつD型Hcの変異体を用いた解析から、2つのリジン残基K1117、K1135が結合に関与していることが明らかとなった。以上の結果はMicrob. Pathog. (2008. in press)に発表した。C型毒素はガングリオシドGD1b、GT1bに、D型毒素はボスファチジルエタノールアミン(PE)に結合することを既に報告しているが(J. Biol. Chem. 2005)、これらの結合はTLCプレート上で認められただけであり、実際に細胞膜上で受容体になるという証明は得られていない。そこで、より生体膜に近い条件での結合を検討するため、受容体含有リポソームを作製し、表面プラズモン解析機を用いて結合能を調べた。その結果、GT1b含有リポソームに対し、C型Hcのみが結合した。従来からGT1bへの結合が報告されているA型やB型は結合せず、C型毒素はボツリヌス毒素の中でも特にガングリオシドへの結合親和性が高いことが示された。PE含有リポソームに対しては、予想に反してD型Hcはほとんど結合しなかったことから、D型毒素の結合にはPE以外の分子も関与している可能性が示された。
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