2007 Fiscal Year Annual Research Report
実験的自己免疫性脳脊髄炎に併発する視神経炎の病態解析と治療法の探索
Project/Area Number |
18799012
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
原田 知加子 Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research, 東京都神経科学総合研究所, 研究員 (20435720)
|
Keywords | 神経科学 / 視神経炎 / 多発性硬化症 / 網膜変改症 |
Research Abstract |
我々はこれまでに虚血網膜における網膜神経節細胞死にはASK1が関与することを見い出している(Am J Pathol,2006)。本研究ではさらに,MOG-EAEモデルを作成し,グリア細胞におけるASK1の機能を解析した。野生型およびASK1KOマウスにMOG-EAEを惹起し,脊髄並びに網膜・視神経の病理学的解析と,多局所網膜電位測定による視機能の電気生理学的検討を行った。また,ミクログリアおよびアストロサイトの初代培養細胞を作製し,アストロサイト・ミクログリアによるMCP-1等のケモカイン分泌量,ミクログリアの遊走能等に与える影響を検討した。 また,最近神経保護作用が注目されているgeranylgeranylacetone (GGA)等の薬剤によるMOG-EAEならびに網膜の虚血後再灌流モデルにおける治療効果も検討した。GGA はすでに消化性潰瘍治療薬として臨床医学の現場で頻繁に使用されている薬物であり,経口投与できる上に副作用が少なく,臨床応用に最適な新しい神経保護剤の候補である。今年度は,網膜の虚血後再灌流モデルを用いた研究において,GGAの網膜神経節細胞への保護効果を確認できた。この研究の成果は,分子生物学系の眼科・視覚研究雑誌であるMolecular Visionに掲載された。この結果を踏まえて現在はMOG-EAEマウスにもGGAを投与中であり,その脊髄症状の重症度ならびに視神経病変に対する効果の検討を行っている。
|