2007 Fiscal Year Annual Research Report
消化管内容物輸送シミュレータによる消化器系疾患の病態生理研究
Project/Area Number |
18800006
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
今井 陽介 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 助教 (60431524)
|
Keywords | 生物・生体工学 / 計算物理 / シミュレーション工学 / 流体 / モデル化 |
Research Abstract |
消化管内ガス,食塊,消化液の混相流問題では,領域によって解像するべき流れのスケールが大きく異なる.例えば気相・液相の界面において適切な格子サイズを用いなければ,界面近傍の解が拡散的になる.さらに蠕動運動によって生じる胃壁の移動境界や将来的に導入する食塊の粒子成分の近傍などにおいても同様に,局所的に高解像度の格子が要求される.任意領域の格子解像度を局所的に変化させるAdaptive Mesh Refinement(AMR)法はこのための有望な解決法であるが,粗い格子と細かい格子の境界において流体変数の補間や非等間隔の離散化が必要となるため,2次精度までの手法しか報告されていなかった.Interpolated Differential Operator(IDO)法を適用し,3次元Navier-Stokes方程式に対して4次精度の定式化を行い,医用画像ベースの生体内流動問題に適用し,本手法によって高精度なマルチスケール解析が可能であることを確認した.AMR法を用いた場合,非圧縮性流体の半陰的解法に必要となる圧力のPoisson方程式の係数行列が著しく不規則になるため収束性が悪化する.IDO法の係数行列は非対称な疎行列であるが,従来の差分法と同様,Algebraic Multi-grid(AMG)法を適用することでこれを改善できることを確認した.胃内部の食塊流動問題へ適用するための界面追跡および捕獲法として,Constrained Interpolated Profile-Conservative Semi-Lagrangian3(CIP-CSL3)法およびTangent of Hyperbola for Interface Capturing(THINC)法をIDO法に適合させた,Semi-Lagrange法であるこれらの手法をEuler法として定式化し,記述が簡易になる一方で従来の方法と同等または優れた界面捕獲法となりえることを確認した.2次元の胃内部食塊流動問題に適用し,消化管内ガスの影響に関する基礎的知見を得た.
|