2006 Fiscal Year Annual Research Report
形状忠実な頭部物理モデルとFEモデルによる脳外傷発生メカニズムの解明に関する研究
Project/Area Number |
18800015
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
宮崎 祐介 金沢大学, 自然科学研究科, 助手 (70432135)
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Keywords | 救命 / 交通事故 / 機械材料・材料力学 / 生物・生体工学 |
Research Abstract |
衝撃を受ける頭部の外傷発生メカニズムを解明するために,主に頭部FEモデルを用いた研究が行われている.しかし,生体実験データの取得が困難であるため,その妥当性は十分に検証されていない.一方で,球等の単純形状の物理モデルを用いた実験も行われているが,実際に人体で起きる現象を把握できるとは言い切れない. そこで,本年度では特定個体の医用画像よりラピッドプロトタイピング技術を利用することにより形状忠実な頭部物理モデルを構築し,衝突実験を行い,頭蓋内部の衝撃応答の計測を行った. 本年度に構築した頭部物理モデルは頭蓋骨物理モデルと脳物理モデルの2つに分けられる.頭蓋骨及び脳部の三次元CADデータを医用画像より構築し,このCADデータを,ラピッドプロトタイピング装置(SOUP II 600GS:シーメット)に読み込ませ,光造形法により頭部物理モデルを製作した.頭蓋骨部はエポキシ:系樹脂(HS-680:シーメット)で構成される.脳部は,ラピッドプロトタイピング装置により製作された型にシリコンゲル(KE-1052:信越シリコーン)を注入し,硬化させることを製作した. スチールバーに発泡ゴムを貼り付けたインパクタをワイヤーでフレームに吊るし,振り子運動をさせ,頭部物理モデルに衝突させた.頭蓋骨部の前頭部と後頭部に圧力計(PDB-200KPAS:東京計測器)を埋め込み,衝撃側及び対側の圧力応答を計測した.また,インパクタに取り付けた加速度計(ARE-1000A:東京計測器)より加速度応答を計測し,インパクタの質量を乗じて頭部に作用する荷重を算出した. 前頭部,後頭部の圧力応答の計測の結果,前頭部衝撃では衝撃側の前頭部に発生する正圧の方が衝撃位置と逆側の後頭部に発生する負圧よりも大きいが,後頭部衝撃では衝撃側の前頭部に発生する負圧の方が大きいことが分かった.これは,実際の事故データの傾向と一致し,従来の単純形状の物理モデルでは計測されない現象を計測することができた.
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