2006 Fiscal Year Annual Research Report
ラット膝関節拘縮モデルによる関節拘縮の病態解明と治療に関する研究
Project/Area Number |
18800016
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
松崎 太郎 金沢大学, 医学系研究科, 助手 (10401910)
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Keywords | ラット / 関節拘縮 |
Research Abstract |
ラット後肢膝関節を独自の手法にて不動化し,関節拘縮モデルを作成してその関節構成体を病理組織学的に観察する事を目的に実験を開始した。 ラットはそれぞれ2週間,4週間にわたって関節を不動化され,それぞれ関節不動化を行わなかった対照群に対して約30度の伸展制限を生じた。 関節構成体め病理組織学的所見では,大腿骨・脛骨の軟骨表層に線維芽細胞からなる滑膜に類似した膜様の組織が増生している像が観察され,表面に増生した膜様組織が半月板周囲から増生した肉芽様組織と癒着している像が観察された。膜様組織が増生している部分の関節軟骨では,酸性ムコ多糖体染色の染色性低下が認められ,関節の不動化による関節軟骨の多糖類産生能力の低下が示唆された。 また,滑膜中の脂肪細胞に着目し,ランダムに選択した30個の細胞面積を計測した。実験群と対照群での個々の脂肪細胞の面積の分散は,実験群は対照群に比べて分散が大きく有意な差を認め,面積の広さでは固定群において有意に減少していた。脂肪組織を観察したところ,実験群において脂肪細胞の萎縮・面積の分散以外にも脂肪組織以外の線維性組織の増加傾向を認めた。脂肪細胞の形を正常群と比較すると対照群は脂肪細胞の形が比較的均整が取れているのに対し,実験群は個々の脂肪細胞の形が不均一である事が観察された。 19年度に行う予定である,理学療法の治療手技・効果に関する実験の準備として,不動化に伴う関節拘縮が神経・筋に及ぼす影響を観察した。実験群では対照群と比較して神経周膜・神経外膜を構成する線維の狭小化及び密生化が観察され,神経外膜の脂肪細胞が減少し,線維芽細胞が増殖していることが観察された。
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