2006 Fiscal Year Annual Research Report
脳の中の時計:モダリティ依存性の時間知覚機構の解明
Project/Area Number |
18800031
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
齊藤 崇子 九州大学, 芸術工学研究院, 研究員 (70423522)
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Keywords | 時間知覚 / 視聴覚統合 / 事象関連電位 |
Research Abstract |
平成18年度「聴覚における時間知覚の脳内機構:ERPによる検討」 目的:ヒトの時間知覚に関連する脳機構を聴覚時間錯覚現象(時間縮小錯覚)を用いて電気生理学的に検討した. 方法:20ms(5 ms rise/fall & 10ms plateau),基本周波数1000Hzの3つの純音によって区切られた2つの時間間隔において,100-280msの範囲で変化させた第1時間間隔(T1)と第2時間間隔(T2,200ms固定)の異同判断を行い,課題遂行時の脳波及び心理反応を記録した. 結果:心理判断において,-80ms<T1-T2<+40msの範囲で時間間隔を等間隔に見積もる時間錯覚現象が生じ,過去の研究結果と同様の現象が確認された.脳波において,100ms<T2-T1<120msの範囲で2音目に対するN1潜時に約30msの遅延が生じた.また,2音目終了後約300ms付近で前頭部に陰性成分,3音目終了後300-400ms付近で頭頂部に陽性成分が出現し,それぞれ刺激予期(CNV),注意(P3)成分と確認された,さらに,P3振幅は判断時の反応時間に応じて増大し,課題困難度と注意の相関が示された. 結語:比較的単純な時間パタンの異同判断においてさえも,脳内では広範囲にわたる高次認知活動が必要とされることが明らかとなった。また,音と時間間隔の並列処理における脳の処理制約が示唆され,これをもとに錯覚現象との関連をさらに検証する必要性が考えられた。
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Research Products
(2 results)