2006 Fiscal Year Annual Research Report
動的環境との相互作用による認知-運動機能の獲得とその応用技術に関する研究
Project/Area Number |
18800044
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
武藤 剛 青山学院大学, 理工学部, 助手 (50433701)
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Keywords | 福祉工学 / リハビリテーション / 臨床 / 歩行 / 複雑性 |
Research Abstract |
本研究では,歩行障害の改善過程を具体的な対象として,動的環境との相互作用に基づき人間が認知-運動機能を獲得していくメカニズムの解析を行った.特に,本年度は,動的な相互作用を実現する協調歩行シミュレータの歩行訓練装置としての妥当性の評価を行うため,障害者モデル(器具により脚運動を拘束された健常者)の構築と,同シミュレータを用いた歩行訓練における歩行運動の改善過程の解析に着手した. 特に,歩行障害に関係する特性として申請者らが扱ってきた歩行運動リズムの位相特性および,自己相似性に注目し,この2つの特性の評価値が歩行訓練の中で改善されてゆく時間発展過程の計測と評価を行った.その結果,シミュレータに実装されているインタラクション機構のパラメータと障害者モデルの歩行運動の特性の関係性が明らかになった.具体的には,シミュレータが人間側の歩行リズムの変化を考慮しない一方向的な形式の協調歩行では,歩行障害の位相特性は改善されるが,自己相似性はむしろ健常な歩行とは逆の方向に変化することが判明した.また,パラメータを変化させ,人間側の歩行リズムの変化を考慮できる形式の協調歩行では,位相特性,自己相似性の両方がともに改善することもわかった.さらに,それらの改善プロセスを計測したところ,その時間発展に違いがあり,位相特性は数秒程度,自己相似性は1分程度の時間スケールで改善が起きることがわかった.このことを踏まえ,次年度では,実験の場を臨床に移し,実際の障害者を対象とした歩行解析をすすめ,歩行障害の改善に必要なインタラクション機構のモデル化を進める.
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