2006 Fiscal Year Annual Research Report
若年女性の喫煙が健康に及ぼす影響-脈波伝播速度および酸化ストレスからの検討-
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18800058
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Research Institution | Sugiyama Jogakuen University |
Principal Investigator |
鍋野 由佳 椙山女学園大学, 生活科学部, 助手 (10410614)
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Keywords | 若年者の喫煙率 / 女子大生 / 喫煙動機 |
Research Abstract |
[目的] 喫煙は多くの疫学的研究から動脈硬化性疾患の重要な危険因子とされている。タバコ煙中のオキシダントは、生体内の酸化ストレスを増大させ、動脈硬化巣を形成することが知られている。さらに、喫煙により血管コンプライアンスが低下することも知られている。しかしながら、若年者におけるタバコ煙と血管コンプライアンスに関する報告は乏しく、若年者のタバコ煙による血管弾性への影響を探索することは冠動脈疾患をはじめ、生活習慣病の一次予防につながると考える。そこで本年度は、女子大学生の喫煙状況を調査した。 [方法] 調査研究として、女子大学生計575名(平均年齢;19.5±0.9歳)を対象にアンケートを実施した。調査内容は喫煙状況および喫煙に関する意識調査(36項目)を行った。 [結果] 調査結果より対象者のうち喫煙者は5.9%、過去の喫煙経験者は19.3%、喫煙者の平均開始年齢は16.5±1.75歳であった。タバコが有するガン以外の害に対する質問では17.3%の学生が「全く知らない」と回答、妊婦の喫煙に対する質問では、64.2%の学生が「絶対にやめたほうがいい」と回答した。喫煙者のみの質問において、喫煙者の喫煙を開始した動機として「周囲の友達や彼氏が吸っていたから」が58.8%であった。 [考察] 20歳代女性における喫煙率が過去16年間で10%も増加しているとの報告から、本研究では喫煙率も高値を示すと予想していたが、5.9%と予想よりも低い結果となった。また、本研究にて若年者の喫煙開始の動機はファッション感覚で吸い始めるよりも、周囲の友人など喫煙環境に最も起因することが明らかになった。 喫煙によるガン以外の害に関する知識については、乏しい者が約2割を占めていた。ガンと同様に喫煙により惹起されやすい虚血性心疾患を回答するものは少なく、比較的軽度の疾患が最もよく回答されていた。これらの結果から、多くの若年者が喫煙による危険性を具体的に認知していないことが推察された。今後は若年者の喫煙に対する知識に関してもさらに調査研究を継続していく必要があると考える。
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