Research Abstract |
本年度は,研究実施計画で述べたように,「機能に気づかせるインタラクション」の研究を行った.具体的には,インタラクションの設計方法として「アクションスローピング」を提案し,犬型ロボットに適用した.さらに,参加者実験を実施し,提案手法の有効性を確認した.以下に実施した研究の概要と得られた知見について述べる. 家庭用ロボットが多機能化したとき,ユーザはそれらの機能を把握し理解するために,マニュアルを読むことに多くの労力を費やすことになるだろう.もし,ユーザがマニュアルを読まずに,自然にロボットの機能に気づくことができれば,負担の軽減や作業効率の向上につながる.そこで,本研究では,マニュアルを読まずに使えるロボットの設計方法として,アクションスローピングを提案した.アクションスローピングとは,ロボットのリアクション(フィードバック)を,ユーザの行為に応じて段階的に変化させ,ユーザの行為を機能の発見へと導く手法である.アクションスローピングを犬型ロボットに適用し,ロボットの頭部にユーザが接触したとき,その時間に応じてフィードバックが変化するロボットの行動を実装した.実験では,ロボットのセンサに1秒間接触し続けたときに実行される機能(簡単な動作)を見つける課題を設定し,実験参加者が機能を見つけるまでの時間と行動を記録した.アクションスローピングの有無による違いを分析したところ,発見するまでの時間に関して,提案手法の有効性を支持する結果を得た.この研究に関して,国際会議(SCIS & ISIS 2006)にて発表を行ったところ,Session Best Presentation Awardを受賞し,一定の評価を得た. また,現在,外見の異なるロボットにおける有効性を確認する実験を計画しており,小型移動ロボット,人間型ロボットにアクションスローピングを実装する準備を進めている.
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