2007 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者の移動能力を障害する膝関節痛の予防・進行防止を目的とした運動療法の確立
Project/Area Number |
18800073
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
木藤 伸宏 Hiroshima International University, 保健医療学部, 講師 (40435061)
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Keywords | 変形性膝関症 / 歩行解析 / 筋電計解析 / 下肢筋力 / 関節運動 |
Research Abstract |
本研究では膝関節痛の予防、進行防止を目的とした運動療法を確立するため,歩行時の下肢関節運動,下肢関節モーメント,中殿筋と大腿四頭筋の筋活動,さらに下肢筋力から検討することを目的とした。軽度変形性膝関節症(膝OA)を有する膝OA群と年齢が一致する健常群を被験者とした。歩行速度とストライド長については両群間で有意な差が認められなかった。しかし,歩行時に膝OA群と健常群では膝関節のみではなく股関節においても運動学、運動力学の相違点が確認できた。股関節は矢状面と水平面において有意な運動学,運動力学の違いが観察された。また,膝OA群の骨盤は後傾し回旋可動域範囲は小さかった。下肢筋力は,膝OA群は健常群よりも有意に小さかったが,外部膝関節内反モーメントと外部膝関節屈曲モーメントとの相関関係は認められず,それに影響を与える要因ではなかった。また,歩行時の筋の活動状態の質的評価としてwavelet解析で時間周波数解析を行ったが,膝OA群と健常群で有意な違いが認められなかった。以上のことより,膝OA群では歩行立脚期に膝関節内反角度が大きいことや外部膝関節内反モーメントが大きいことは股関節矢状面や水平面の運動との関わりで引き起こされている可能性が示唆された。膝OAの理学療法では,大腿四頭筋に代表される膝関節筋のみではなく,股関節周囲筋にも注目する必要性がある。 本研究結果は膝OAに対し一般的に行われている膝関節伸展筋強化訓練が有効な治療であるか疑問を与え,安易にそれを継続する治療に警告を与えるものである。また,膝OAの運動療法として股関節にも着目する必要性を示唆する。
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Research Products
(4 results)