2006 Fiscal Year Annual Research Report
全身反応運動の遂行能力と脳内情報処理過程および脳の酸素動態に関する研究
Project/Area Number |
18800090
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Research Institution | National Agency for the Advancement of Sports and Health |
Principal Investigator |
秋山 幸代 National Agency for the Advancement of Sports and Health, スポーツ科学研究部, 契約研究員 (30409297)
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Keywords | 事象関連電位(Event-related potentials) / 脳内情報処理 / 反応時間 / 運動準備 / 随伴陰性変動(CNV) |
Research Abstract |
本研究は、全身反応動作の遂行能力と脳活動について、特に運動準備過程に着目し、検討することを目的とした。 被験者は、フォースプレート上に立ち、予告刺激後、モニター上に呈示される命令刺激に対して、指定した動作をできるだけ素早く行うよう指示した。要求する反応課題には、(1)色弁別課題、(2)位置弁別課題(一致条件)、(3)位置弁別課題(不一致条件)、(4)計数課題を設定した。脳内情報処理過程を評価する指標には、随伴陰性変動(CNV)を用いた。パフォーマンスの評価には、反応時間、筋電図、床半力等を用いた。 その結果、反応時間は位置弁別課題の一致条件で最も速く、位置弁別課題不一致条件、色弁別課題の順であった。 一方、CNVの振幅は、位置弁別課題一致条件で最も大きく、色弁別課題、位置弁別課題不一致条件の順であった。位置弁別課題は常に反応動作を要求されるが、色弁別課題はGo-Nogo課題の要素も含んでいることが、反応時間の遅れのひとつの要因であると考えられる。また、視覚刺激の脳内情報処理過程において、位置情報と色情報を弁別する際、その経路が異なることから命令刺激に対する処理速度が関与し、色の弁別でより時間を要することも考えられる。CNVの振幅は、運動準備期における中枢の興奮状態を反映し、反応時間と相関があることが報告されている。しかし本研究において、反応時間の結果と異なる様相を示した。これについては、課題の難易性の影響が考えられる。被験者の内省報告では、位置弁別課題の不一致条件が最も難しかったと全員が答えた。つまり、命令刺激に対して中枢の興奮を十分に高めるといった、運動準備状態がうまく形成できていなかったことが推察される。19年度は脳波と同時に脳代謝動態を記録し、より詳細に検討する。
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