2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18800093
|
Research Institution | Kanagawa Academy of Science and Technology |
Principal Investigator |
白石 貢一 (財)神奈川科学技術アカデミー, 高分子ナノメディカルプロジェクト, 研究員 (40426284)
|
Keywords | 高分子ミセル / MRI造影剤 / T1緩和時間 / DDS / 医用高分子 |
Research Abstract |
本研究の目的は、EPR(Enhanced Permeability and Retention)効果によって固形がんに抗がん剤をデリバリーする高分子ミセルの特長をMRI造影剤に応用し、直径2-3mm程の早期固形がんを見分けることのできるがん選択的MRI造影剤のをたうことである。平成18年度の研究実施計画及びその成果は、 1.高分子の合成と緩和能評価 1a)分子量の緩和能に与える影響 1b)高分子の組成が緩和能に与える影響 について検討を行う予定であった。 本年度、PEG-PLLブロックコポリマーをターゲットの高分子に設定し、高分子の組成や分子量の影響が緩和能に現れるかを検討した。PEG-PLLからなるブロックコポリマーは明確な構造をもってGdをキレートした高分子型のMRI造影剤が調整された。その緩和能はPEG鎖の影響が顕著に現れ、400MHz磁場環境下における緩和能であるが、低分子MRI造影剤と比較して2倍以上高い値を示すことを見いだした。PEG鎖が長くなることによって緩和能が高くなった理由はブロックコポリマーの水への親和性が増したためと考えられる。 2.高分子ミセル形成とその安定性評価 2a)適切なサイズを与える高分子ミセルの形成 2b)高分子ミセルの緩和能評価 2c)高分子ミセルの安定性 であった。 高分子ミセルの形成、サイズについて検討を行った結果、対イオンとなる高分子を加えることで粒径200nm以下の高分子ミセルが形成された。ブロックコポリマーの組成によって高分子ミセルの形成に影響を及ぼし、本研究では高分子ミセルが形成される組成を明らかにした。これは疎水性内殻となるブロックコポリマーの組成に強く起因していることが明らかとなった。対イオンの比が1/1の際に得られた粒径は100nm以下となった。高分子ミセルの形成によって疎水性内殻にあるMRI造影剤は緩和能が抑えられ、ブロックコポリマーと比較しておよそ40%減少した。
|