2006 Fiscal Year Annual Research Report
電気化学バイオリソグラフィーを用いた細胞培養システムの開発
Project/Area Number |
18810004
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
梶 弘和 東北大学, 大学院工学研究科, 助手 (70431525)
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Keywords | 表面・界面物性 / 生体材料 / 細胞 / 走査プローブ顕微鏡 / バイオチップ / バイオデバイス |
Research Abstract |
細胞の運動を空間的かつ時間的に制御できる培養システムの構築を念頭に,電気化学バイオリソグラフィーの技術改良および細胞遊走アッセイを行った. 1.培養基板の改良 長期安定の抗血栓性材料であるMPCポリマーを電気化学的なリソグラフィー処理のバックグラウンドとして導入することで,高精度な細胞パターンの長期保持を試みた.基板上に作製したMPCポリマーの一次パターンは,電気化学的なリソグラフィー処理に対して不活性であり,段階的なリソグラフィー処理により一次パターンの内部に細胞接着性領域を逐次形成することで,細胞が遊走する領域を3日間程度厳密に規制することに成功した. 2.細胞遊走アッセイ 1で検討した基板を用いてHeLa細胞の遊走試験を行った.細胞の遊走をレーン状に誘導したところ,レーンの幅が広くなるにつれて遊走する距離が長くなり,レーン幅が50μmを超えるとほぼ一定になることがわかった.これまでに,細胞が遊走を開始する前の細胞形状や細胞極性が遊走の速度や方向性に影響を与えることが報告されているが,本研究で得られた結果は,細胞が遊走をしている間の空間的なストレスが遊走活性に影響することを示すものである. さらに,この実験系を用いていくつかの代表的な遊走阻害剤の薬理評価を検討した.本実験系では,基板上で細胞遊走をパターン化できるため,細胞の運動性を指標とする薬剤アッセイの簡便化が期待できる.
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