2006 Fiscal Year Annual Research Report
炭素分子材料とポルフィリンのナノ構造制御に基づいた有機太陽電池の開発
Project/Area Number |
18810014
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
羽曾部 卓 北陸先端科学技術大学院大学, マテリアルサイエンス研究科, 講師 (70418698)
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Keywords | ポルフィリン / カーボンナノチューブ / 超分子集合体 / 光誘起電子移動 / 光電変換 |
Research Abstract |
フラーレン・カーボンナノチューブ等のナノカーボンマテリアルは優れた電子伝導性を有するため有機分子との組織だった複合化を行うことにより新たな機能性の発現が期待できる。特に、色素分子との組み合わせでは太陽電池等の光応答デバイスへの展開が可能となる。C_<60>などのフラーレンはポルフィリンと超分子形成を行うことが多数の報告から分かっている。一方で、カーボンナノチューブの場合、有機分子との超分子集合体の構築はこれまでカーボンナノチューブの低い溶解性のため分子の配向性制御が困難であり、報告例がない。しかしながら、カーボンナノチューブは特徴的な曲線かつシリンダー構造を有しているため、二次元のπ共役平面を有するポルフィリンと疎水的また、非共有結合的な相互作用による錯形成が期待できる。そこで本研究では単層カーボンナノチューブ(SWCNT)とポルフィリンを用いた超分子集合体の構築のため、ポルフィリンのプロトン化を効果的に利用することによりSWCNTとの超分子ナノロッドの構築に初めて成功し、さらにその光誘起電子移動特性及び光電気化学について詳細に検討した。ポルフィリン-SWCNT複合膜の光電流発生のアクションスペクトル測定では、光電流発生の外部量子効率(IPCE値)は約13%に達し、ポルフィリン及びSWCNTのみの薄膜と比較して、IPCE値が大きく向上したことからポルフィリン-SWCNTにおける光誘起電子移動が効果的に光電変換に寄与していることが分かった。また、フェムト秒の過渡吸収スペクトル測定でも光誘起電子移動形成を示すポルフィリンのラジカル種形成が示唆された。
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