2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18820001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
守川 知子 北海道大学, 大学院文学研究科, 助教授 (00431297)
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Keywords | シーア(派) / 聖地 / イスラーム / イラン:イラク / 巡礼 |
Research Abstract |
本年度は、新たな研究環境の整備とともに、学会や研究会等への参加など、研究者間交流を重視した。 研究代表者自らの実績としては、2006年4月に京都大学文学部で行われた「国境」を共通論題としたシンポジウムにおいて、「近代西アジアにおける国境の成立」と題する発表を行い、近代史および西アジア史の観点から「国境」とはどのような過程を経て成立するのかという問題意識を提起した。同年6月には、洛北史学会第8回大会(京都府立大学)において、「聖なるものを求めて--シーア派イスラームの聖地巡礼」を発表し、同大会の共通テーマであった「「信仰」の「力」」に関して、イスラーム社会の活発な聖地巡礼の実態を報告した。また同年8月にロンドン大学のSOASで開催された、The Sixth Biennial of Iranian Studiesに参加し、"Merchants and Pilgrims in Qajar Iran"というセッションのなかで、"Shiite Pilgrimage for the Atabat during the Qajar Period"(English)と題して報告したが、欧米やイランの研究者たちから、非常に多くの質問を受け、同テーマが国際的な研究水準から見ても十分に通用するものだとの認識を新たにした。 研究発表に関しては、「聖地アタバート参詣考」(東方学報79)、「国境にみる「近代化」と聖地参詣者」(東洋史研究65/3)、「近代西アジアにおける国境の成立」(史林90/1)の三点の論文に加え、博士論文をもとにした単著、『シーア派聖地参詣の研究』(京都大学学術出版会、iv+424頁)を刊行した。これら一連のシーア派聖地巡礼に関する研究実績により、「巡礼(参詣)」というテーマに関する研究にはひと区切りがついたため、今後は「聖地」の実態およびそのネットワークに焦点をあてて検討したい。
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