2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18820016
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
青山 拓央 山口大学, 時間学研究所, 講師 (20432734)
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Keywords | 哲学 / 時間 / 自由 / 心身相関 / 心身問題 / 同時性 / 因果性 / 時間学 |
Research Abstract |
本研究課題は、大きく時間論・自由論・心の哲学(philosophy of mind)の三つの観点から捉えられる。平成18年度はとりわけ、時間論と自由論の観点から研究を発展させ、既存の関連研究を検討するとともに、論文誌・研究会等において個別的な発表を行なった。 時間論については、所属機関である山口大学時間学研究所の主催によって、さまざまな分野の研究者ともに十数回にわたるセミナー・講演会を行なった。理系・文系の垣根を越えた時間研究の成果を学ぶことで、自身の研究をより広い視野のもとで再検討することが可能となった。また、2006年10月には、本研究課題の時間論的側面を扱った拙論「時制的変化は定義可能か -マクタガートの洞察と失敗」に対して、日本科学哲学会主催「石本賞」が授与された。 自由論については、これまでの研究成果を「自由意志」概念の論理的整合性を問うかたちで著作化し、論文誌に掲載した(「自由意志の非実在性」,山口大学哲学研究,14)。そこでは、カントやロックといった古典的研究者だけではなく、デイヴィド・ルイス、ピーター・ヴァン・インワーゲン、ロデリック・チザムといった、二十世紀後半の有力な自由論研究者たちの見解が批判的に検討された後に、自由意志概念と確率的偶然性との同型性を支持する著者の見解が示されている。本論文は、自由論を時間論や心の哲学と関連付けて展開させるための、準備的論考とみなすことができる。
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