2006 Fiscal Year Annual Research Report
日中両国における「義・利」「公・私」思想の比較研究
Project/Area Number |
18820022
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Research Institution | The University of Shimane |
Principal Investigator |
于 臣 島根県立大学, 総合政策学部, 助手 (70433373)
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Keywords | 実業 / 精神 / 義 / 利 / 渋沢栄一 / 張謇 / 生家 |
Research Abstract |
日中両国の実業家の思想を理解するにあたっては、彼らの生い立ち、生家の地理環境等を考察しなければならないが、諸先行研究は充分にこの作業を行っていなかった。そのため、筆者は渋沢栄一と張謇の生家への実地調査を行ってきた。 渋沢栄一の生家は現在埼玉県深谷市にある。筆者は実際に現地に赴き、渋沢家先代の墓標を見たところ、渋沢栄一の先祖が勤勉な努力家であること、渋沢家の学問の源流が儒学にあることが判った。渋沢はこの学問の系統を引継ぎ、若い頃形成した学問観が彼の「実業」への捉え方につながっていることを確認した。 一方、張謇の故郷は中国江蘇省常楽鎮である。筆者は現地を訪れ、張謇記念館、張謇が生前創立した「大生三廠」(現華潤大生紡績有限公司)を訪問した。これらの施設に所蔵されている張謇の手跡から、張謇の実業家としての精神が理解できた。また南通市にある張謇研究中心の専門家、地元の年配な方を対象に聞き取り調査を実施した。これによって、張謇の「実業」への捉え方および張謇の実業家像を明らかにすることができた。 上述した渋沢栄一と張謇に関する現地での聞き取り調査および文献資料の調査によって、本研究課題である「日中両国の『義・利』『公・私』思想の比較研究』を歴史地理的文脈の中でとらえることができた。この成果は「『実業』とは何か一日中両国の実業家の観点を中心に」という論文で渋沢栄一と張謇の素養と「実業」との関係に配慮しながら展開した。
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Research Products
(1 results)