2006 Fiscal Year Annual Research Report
戦争期のメディア編成と文学--大正・昭和の言説分析
Project/Area Number |
18820026
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Research Institution | Otsuma Women's University |
Principal Investigator |
内藤 千珠子 大妻女子大学, 文学部, 専任講師 (20433708)
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Keywords | 文学一般 / 国文学 / 日本史 / メディア / 言語態分析 |
Research Abstract |
近代日本が国民国家として成立し、定着してゆく過程で、どのような言説の論理が編成されたのか、戦争期のメディアの言語と文学的言語の関係に焦点を当てて考察しようとするのが、本研究の目的である。 科学研究費の交付期間内には、とくに第一次世界大戦前後を中心とする時期の日本語一次資料の収集を進める予定であるが、本年度は、大正初期を中心に、新聞・雑誌等のメディア言説、文学的言語、法的言語、学問的言語(人類学・民族学・民俗学・歴史学・教育学等)、衛生学・医学的言語、外交文書などの一次資料を収集・分析した。メディアの言語のなかでも特に、新聞資料を中心に資料を集め、明治期の言説空間といかなる連続性、あるいは断絶があるのかを中心に検証を行なった。具体的には、天皇制をめぐる論理の差異と、物語やスキャンダルの語られ方に注目して、大正初期の言説編成が、明治期の物語を引用する仕方に特徴を持つことについて考察し、その成果を、新聞メディアの言語と谷崎潤一郎や夏目漱石らの文学作品との関連を軸にして、論文にまとめた。大正初期の言説論理の特徴のひとつが、明治期の歴史的事件を記述した物語を反復的に引用する形式にあることを明らかにした。 また、関係一次資料についてのデータ化作業を開始するとともに、韓国の研究者の助力も得て、韓国語の新聞資料を翻訳する作業にも着手した。
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Research Products
(3 results)