2006 Fiscal Year Annual Research Report
英語習得と年齢に関する研究:外国語環境における臨界期仮説の適用可能性について
Project/Area Number |
18820042
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
鹿野 緑 南山大学, 総合政策学部, 講師 (30410757)
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Keywords | 第二言語習得 / 臨界期仮説 / 外国語環境 / 年齢要因 |
Research Abstract |
1.第二言語習得における年齢要因(臨界期仮説)をめぐる先行研究の精査 言語習得における臨界期仮説を考える上での基礎的な知見を得るため、先行文献を精査した。まず、1)臨界期という概念を言語習得に適用した初期研究、2)第一言語獲得における臨界期の存在を示した事例研究、3)Johnson & Newport(l989)以降現在までの、第二言語習得における臨界期をめぐる研究、さらに4)外国語習得環境における年齢要因の研究について、概観した。特に、研究者が主張するそれぞれの立場の理論的根拠について、共通性と対立部分に注目し、当該分野を俯瞰的に見る注釈付き文献集の編纂が進行中である。その先駆けとして、すでに、臨界期を理解するための[核]となると思われる7編の論文をとりだし、資料集としてまとめた。 言語習得臨界期仮説が、外国語環境ではどのように適用されうるかという問題については、発音・文法規則・語彙という異なった言語領域に注目すること、第二言語習得環境から外国語学習環境に移住した子供たちの言語喪失研究を概観すること、および、年齢による認知発達の差異・学習スタイルの差に留意することなどを考慮した。研究期間2年目の平成19年度も、これを継続する。 2.日本のような外国語環境で実証研究を行う際に有効なリサーチ・デザインの考案とデータ収集開始 海外の英語圏で英語を習得した経験があり、日本で学校教育を受けた経験のある日本人被験者に協力を依頼し、音韻習得と移住年齢(Age of Arrival)・正規学習開始年齢(Age of Onset of Instruction)の関係を考察する研究を開始した。被験者は、日本で外国語として英語に接した経験をもち、かつ、生活言語としての第二言語・学校における教育言語・業務遂行言語などとして英語圏で英語に接触した経験を持つ日本人である。これまでに、さまざまな年齢の被験者47名の発音データを収集した。平成l9年度にはデータ収集を継続し、分析を開始する予定である。
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