2006 Fiscal Year Annual Research Report
東アフリカにおける万人のための教育政策の効果と課題分析
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18830040
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
笹岡 幹子 (西村 幹子) 神戸大学, 国際協力研究科, 助教授 (20432552)
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Keywords | 教育開発 / 東アフリカ / 万人のための教育 / 内部効率 / 退学 / 留年 |
Research Abstract |
本研究は、ウガンダ、ケニアにおける初等教育完全普及(UPE)政策の効果と課題について、就学だけでなく、就学した後の学習、つまり留年や退学について社会的なグループ毎の動向を分析し、教育機会と結果の平等を確保する政策提言につなげることを目指している。本年度は、ウガンダの世帯調査を用いた分析と、ウガンダ、ケニアの教育省、県教育事務所、小学校校長および教員に対しインタビュー調査を実施した。今年度の研究で得られた知見は以下の通りである。 1.ウガンダ世帯調査の分析結果 ウガンダにおいて実施された2003年および2005年の940世帯のパネル謁査を用い、退学と留年の要因分析を行った結果、(1)世帯の財源が不足した場合には、女子が学校教育を継続しない可能性が高いこと、(2)私立校よりも公立校においてより留年率が高いこと、(3)他の家庭要因を一定に保った上で、学校までの距離が遠いほど留年が起こりやすいこと、が判明した。 2.ウガンダ、ケニアにおける学校調査の分析結果 (1)ウガンダ UPE政策下においては、親と学校との関係が希薄になり、成績不良や学校による授業料以外の集金が、頻繁に転校を引き起こしていることが判明した。また、この頻繁の転校が更に留年や退学を引き起こしている現象が見られた。貧しい世帯、HIV/AIDS孤児、親が教育を受けてない世帯にこのような影響が強い。 (2)ケニア 2003年のFPE(Free Primary Education)政策導入以降、ウガンダ同様、頻繁な転校が起きているが、貧しい学校については以前よりも政府からの教育費や教材が供給され、留年率や退学率が低下している傾向がある。他方、比較的裕福な世帯が通う学校では、授業料が廃止された結果、学校財政は以前よりも厳しくなり、公立校から私立校への転校が目立つようになった。HIV/AIDS孤児や障害児が留年や退学に晒されている。
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