2006 Fiscal Year Annual Research Report
社会適応におけるポジティブ感情の機能と主観的幸福感に関する予防的介入研究
Project/Area Number |
18830063
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
大竹 恵子 東北学院大学, 教養学部, 助教授 (70405893)
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Keywords | ポジティブ感情 / 幸福感 / 社会適応 / 予防 / 介入 |
Research Abstract |
本年度は、個人の幸福感やウェルビーイングに関連する要因を検討するために、楽観主義という個人特性や感謝、親切といった人間の持っているポジティブな特性、さらに個人の自伝的記憶をとりあげ、それらが日常生活の中で、どのように幸福感と関連しているかを調査研究によって明らかにした。主観的幸福感が高い人は、日常生活において満足しており、物事を楽観的にとらえていること、さらに、他者に対して相手が喜ぶ行動を積極的にしたいという動機づけが高く、実際にも他者に対して親切な働きかけを行っていることが示された。また、自伝的記憶についても興味深い結果が示され、主観的幸福感が高い人は、短期的な期間での記憶であるが、ポジティブな記憶の割合が高いことが明らかにされた。これらの要因は、主観的幸福感の高揚に関連している可能性が示唆される。また、これらの研究を行うために必要な測定指標を開発するため、さまざまな感情が喚起される状況での個人の感情に対応する対処能力、や人生の意義や希望をどのようにとらえ、展望しているかという人生の意義尺度など、いくつかの質問紙・尺度を作成した。さらに、このような個人の主観的幸福感に大きく影響していると考えられるポジティブ感情についても予備的な研究を行った。ポジティブな感情としてどのようなものを捉える必要があるのかということを含めて、感情日記を少人数に実施し、さまざまな感情とその捉え方についてデータを収集した。今後、これらの質的データをカテゴリー化し、感情状態と個人の認知との関係、主観的幸福感、ウェルビーイングとの関連など、研究を発展させていく予定である。なお、本年度の研究成果については、学術雑誌論文として2本、連名を含む学会発表として10題を公表した。
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