2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18830065
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Research Institution | Tokyo University of Social Welfare |
Principal Investigator |
林 美都子 Tokyo University of Social Welfare, 教育学部, 講師 (20406309)
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Keywords | 記憶高進 / 潜在記憶 / 記憶の無意識的過程 / Remember / Know手続き / テスト間間隔 / Reminiscence / Forgetting |
Research Abstract |
記憶高進とは、再学習の機会なくテストのみ繰り返した場合に記憶成績が向上する現象のことである。RemniscenceとForgettingの2つの下位現象からなり、ReminicenceがForgettingを上回ると記憶高進が生起する。先行研究においては、この現象の生起には無意識が大きく関与しているのではないかと指摘されてきたが、昨年度、プライミング手続きを用いて検討したところ、意識的処理の方が記憶高進の生起には大きく影響していることが示された。しかし意識的処理のみが影響しているわけではなく、2つの下位現象、特にReminicenceにおいては、テスト間間隔が長い場合には無意識が強く関与している可能性が示唆された。 そこで本年度はその点を検討するため、Remember/Know手続きと呼ばれる記憶の意識・無意識を測定する手法を中心として実験を実施した。記憶高進が生起しうるお絵かき群と生起しないであろう筆写群において、昨年度同様、学習直後にテスト間間隔を設けずに3回実施した後、一週間のテスト間間隔をあけ、さらに3回、Remember/Knowテストをテスト間間隔を空けずに繰り返した。その結果、予測どおり、お絵かき群では記憶高進が生起し、筆写群では生起していなかった。そこで下位現象の検討を行ったところ、予測と異なり、記憶高進が生起している場合にはRemninicenceにおいて意識的処理の関与が高まり、生起していない場合にはForgettingにおいて無意識的処理の関与が高まることが示された。想起には意識が、忘却には無意識が大いに関係している可能性が示唆され、そのバランスが記憶高進の生起をもたらすのではないかと考察される。 以上の研究成果を踏まえ、今年度、昨年度の研究成果を中心として学会誌に投稿し、現在審査を受けているところである。
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