2007 Fiscal Year Annual Research Report
ナショナル・イノベーション・システムにおけるバックワードリンケージの有効性の実証研究
Project/Area Number |
18830081
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
井口 知栄 Ritsumeikan University, 経営学部, 准教授 (20411209)
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Keywords | ナショナル・イノベーション・システム / バックワード・リンケージ / 企業間連携 / 多国籍企業 |
Research Abstract |
平成18年度に引き続き、平成19年度にも現地調査を行った。平成19年度は多国籍企業の異なるタイプと現地サプライヤーへの役割を明らかにする必要があり、シンガポール(9月)、マレーシア・タイ(2月)の多国籍企業の調査をした。平成18年度のマレーシアでの調査から、特に日本の多国籍企業は、マレーシアから電機電子産業内の特定製品の生産をタイに移転しているケースが多く見られていた。今年度の合計15社の聞き取り調査データから、多国籍企業本社の戦略、各ホスト国での多国籍企業子会社の戦略が大きく変化していることが明らかになった。平成19年度においては、各ホスト国のSpecializationの様子が明らかになり、それに伴い、各ホスト国における企業間連携(バックワードリンケージ)の形成の方法が異なることも調査企業の情報から明らかになった。 特にイノベーション・システムにおいてホスト国の技術力向上に貢献できると考えられている能力創造型子会社(competence creating subsidiaries)の出現が見られ、調査対象企業においてR&Dを持つ多国籍企業子会社が多かった。現地企業とのcollaborative researchは少ないが、R&Dの機能レベルが以前より上がってきているとのことで(平成16年頃より)近い将来的には、これまでの研究で多かったバックワードリンケージとは違うタイプのバックワードリンケージが形成されていることが期待される。 今後は、バックワードリンケージだけでなく「企業間連携」の役割を追及していく研究を進め、多国籍企業子会社のフォーワードリンケージ(海外戦略、地域戦略等)とバックワードリンケージの両方から、多国籍企業子会社の戦略とイノベーション・システムへの貢献の関連性を明らかにしていきたい。
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Research Products
(2 results)