2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18830097
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Research Institution | Kinki Health Welfare University |
Principal Investigator |
米倉 裕希子 近畿福祉大学, 社会福祉学部, 講師 (80412112)
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Keywords | 障害児 / 家族 / 感情表出 |
Research Abstract |
1.研究目的 統合失調症患者の家族研究から始まった感情表出(Expressed Emotion,以下EE)研究を障害児の家族に応用した研究が増えてきている。そこで、障害のある子どもの家族のEEは、(1)低EEより高EEが多い、(2)障害による違いがある、(3)子どもの行動上の問題と関連がある、(4)家族のQOL(Quality of Life,以下QOL)と関連がある、という4つの仮説たて検証した。 2.研究方法 EEの評価方法は、5分間面接を用いるFMSS(Five Minute Speech Sample)、自己記入式質問紙であるLEE(Level of EE)とFAS(Family Attitude Scale)を用いた。また、家族のQOL評価はSF-36 v2とCES-D、子どもの行動評価はCBCL/4-18を用いた。研究対象者は、社会福祉法人が経営する児童デイサービス事業を利用している障害児とその家族52名である。統計学的な分析には、SPSS 15.0 for windowsを用いた。 3.研究結果 結果、(1)地域サービスを利用する障害児の家族は低EEが多い、(2)高EEと子どもの行動上の問題との関係、(3)高EEと家族の低いQOLとの関係、(4)障害種別によるEEの違いは明らかではない、という4点が明らかになった。また、EEの評価方法について、(1)cut-off pointについての比較文化的検討が必要、(2)FMSS評価による評価者トレーニングの可能性、(3)自己記入式の質問紙によるEE評価の可能性、という3点が明らかになった。 4.今後の課題 本調査は、(1)横断研究のため、高EEと子どもの行動上の問題との因果関係が明らかではない、(2)サンプル数が少なく、障害種別によるEEの違いが明らかではない、(3)社会的要因について検討されていない、という課題も残されている。
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