2006 Fiscal Year Annual Research Report
非対称地域間による資本課税競争の繰り返しゲームアプローチ
Project/Area Number |
18830098
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Research Institution | Hiroshima Shudo University |
Principal Investigator |
山口 力 広島修道大学, 経済科学部, 講師 (60435047)
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Keywords | 租税競争 / 非対称地域 / 繰り返しゲーム |
Research Abstract |
平成18年度は2年計画の初年度であり、予定した年次計画に従い、これまでの租税競争に関する文献の収集・検討作業を精力的にすすめた。 本研究は、地域間が非対称なケースにおける租税競争を繰り返しゲームを用いることで分析し、地域間の非対称性の度合いが地域間の協調行動にどのような影響を与えるかを資本市場を明示的に組み込んだモデルにおいて明らかにすることを目的としている。地域間の人口の非対称性に関しては、従来いくつかの資本課税競争に関する論文で扱われているものの、初期資保有量や生産技術の非対称性を同時に扱ったものは存在しないことから、理論モデルにこれらの追加的な非対称要素を導入し分析を試みた。主な分析結果は以下のとおりである。 ・ある地域が資本輸出地域となるか資本輸入地域となるかは初期資本保有量の地域間格差と生産技術の地域間格差との差異に依存して決定する。 ・各地域の将来に対する割引率が十分に大きければ、地域間の資本課税協調は繰り返しゲームのサブゲーム完全均衡として維持可能であり、協調資本税率の絶対値が大きくなるにつれて、協調は困難となる。 ・地域間の資本格差が技術格差を上回る(下回る)場合、資本格差の拡大は地域間の課税協調を容易(困難)にするものの、技術格差の拡大は課税協調を困難(容易)にする。 これらの研究成果は『Asymmetric tax competition in a repeated game setting』にまとめられ、応用地域学会第20回研究発表大会(広島大学)において報告され、現在は専門雑誌に投稿中である。
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