2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18830107
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Research Institution | Koryo International College |
Principal Investigator |
緒方 勇 光陵女子短期大学, 国際コミュニケーション学科, 講師 (40435300)
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Keywords | キャッシュ・フロー / 将来キャッシュ・フロー / 実証会計学 / 研究開発費 |
Research Abstract |
会計制度の目的の一つは、将来キャッシュ・フロー予測に有用な情報を提供することである。現行の会計制度がこの目的を達しているかどうかは、会計利益が将来キャッシュ・フローの予測に有用かどうかで検証される。 そこで平成18年度は、会計利益とキャッシュ・フローではどちらの方が将来キャッシュフローの予測能力が優れているかを検証した。また、現行の制度下では全額費用化が求められている研究開発投資が将来営業キャッシュ・フロー予測にどのような影響を与えるのかについても調査した。 サンプルは日本の証券市場に上場している企業(証券・銀行は除く)で、分析期間は1966年〜2005年の40年間である。この結果、分析企業数は2584社、総サンプル数は51050社・年となった。 分析の結果明らかになったことは次の事項である。 (1)営業キャッシュ・フローが自己を予測する能力は40年間という長期にわたって次第に減少している。 (2)また、営業キャッシュ・フローの将来への持続力も、40年間という長期にわたって次第に減少している。 (3)会計利益が将来キャッシュ・フローを予測する能力は40年間という長期にわたって比較的安定している。 (4)説明変数として営業キャッシュ・フローの代わりに会計利益を使うことで将来キャッシュ・フローの予測力は改善する。また、その改善の程度は次第に大きくなっている。 (5)研究開発投資を行っている企業は、そうでない企業に較べて、会計利益を使うことによる将来キャッシュ・フロー予測能力の改善度は大きい。
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