2006 Fiscal Year Annual Research Report
野宿生活者のニードを基軸にした複合的施策のあり方に関する研究
Project/Area Number |
18830108
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Research Institution | Osaka University of Health&Sports Science Junior College |
Principal Investigator |
行貞 伸二 大阪体育大学短期大学部, 講師 (90435313)
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Keywords | 野宿生活者 / セーフティネット / アウトリーチ |
Research Abstract |
1999年8月より、大阪市では他の自治体に先駆けて「野宿生活者巡回相談事業」を実施している。役所で待っているだけではなく、行政の側(大阪市から業務委託を受けた大阪市生活保護施設連盟(1999〜2004年度)および社会福祉法人大阪自彊館(2005年度〜))が野宿生活者の生活の場に出向いていってニード調査をおこない、自立支援センターや生活保護施設への入所、医療機関受診などの支援をおこなっている。 2006年12月末までに新規面接12077件、再面接41938件、合計54015件の巡回相談を実施しており、さらに自立支援センターへの入所依頼は3877件、施設入所および受診等の支援は5378件となっている。 1999年8月から2004年3月までの期間における巡回相談記録のデータから、野宿地で野宿生活者が巡回相談員に話した「現在の要望」について簡単に述べる。この間の新規面接数は8611件である。野宿生活者の要望でもっとも多いのは「自立支援センターの利用」の3018件(35.0%)、次いで、「求職」714件(8.3%)、「施設入所」679件(7.9%)、「受診」367件(4.3%)、「生活保護受給」271件(3.1%)などとなっている。ほかには「帰郷」「年金(脱退一時金含む)受給」「食事の確保」「野宿からの脱却」「サラ金問題の解決」などが続いている。このことから就労を通じた「自立」を希望する野宿生活者が多いことがわかる。一方で、「要望なし」が3244件(47.6%)にものぼり、これは「自立支援センターの利用」より多い最大のグループとなっている。この「要望なし」層の分析がきわめて重要である。
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