2006 Fiscal Year Annual Research Report
顔の高次視覚印象の階層特性に関する実験計量心理学的検討
Project/Area Number |
18830109
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Research Institution | Miyagi National College of Technology |
Principal Investigator |
伊師 華江 宮城工業高等専門学校, 情報デザイン学科, 助手 (10435406)
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Keywords | 顔 / 高次印象 / 不変的特徴 / 中立顔 / 可変的特徴 / 表情顔 |
Research Abstract |
人間の顔は,「優しい」や「上品な」などの多様な印象を有する.顔に含まれる目は鼻などの個々のパーツの特徴やその位置関係,肌の色合いなど,顔の全体的な処理に基づいて得られる印象は,部分的な処理や単一特徴で定義される視覚刺激によって生起する「丸い」や「鋭い」などの単純な印象と区別して,高次印象と呼ばれる.本年度は,顔の表情に着目し,特定の表情が表れた表情顔から,何の表情も表れていない中立顔への動的・連続的な変化が,中立顔の高次印象に及ぼす影響を評定実験により検討した.その結果,表情顔から中立顔への変化が動的かつ連続的であると,中立顔の印象はもとの表情顔の影響をうけて変容することが見出された.ネガティブな表情顔から動的に変化する中立顔はよりポジティブな「優しい」印象へ,また,ポジティブな表情顔から動的に変化する中立顔はよりネガティブな「怖い」印象へと変化したことから,動的変化における顔表象の慣性的な効果が顔の高次印象の評価を調整したと考えられた. 人の顔から感じられる多様な高次印象を一つにまとめ,優位に受け取られる統合的な印象として顔の魅力があげられる.このような顔の感性情報処理における階層的印象構造を作業仮説として設けることにより,最も上位の統合的印象である顔の魅力はその他の種々の下位印象の組織化タイプによって規定され,魅力認知の多様性が説明可能となる.ここでは,顔立ちそのものの特徴等の不変的側面(中立顔),視線等の顔の可変的側面(表情顔)について,それぞれの側面に特有な,あるいは共通して得られる種々の印象の階層特性に着目し,魅力の認知構造や評価基準の差異について,実験計量心理学的な手法による検証を開始した.
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