2007 Fiscal Year Annual Research Report
スピンによる高熱伝導物質における磁気的ゼーベック効果の検証
Project/Area Number |
18840007
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
川股 隆行 The Institute of Physical and Chemical Research, 岩崎先端中間子研究室, 協力研究員 (00431601)
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Keywords | 低次元物質 / 量子スピン系 / 単結晶育成 / スピンによる熱伝導 / 磁気的ゼーベック劾果 |
Research Abstract |
磁気的なゼーベック効果を観測することを目的として研究を行っている.(1)スピンによる熱伝導が大きい低次元量子スピン系の単結晶試料を作成する.(2)単結晶試料に磁場を印加した状態で,その両端に温度差つけ,両端についた磁化勾配を調べる装置を作成する.(3)磁気的ゼーベック効果の測定を行い,磁場勾配の結果を解析し理論との比較を行う.以上のような流れで研究を行う.この現象は,ゼーベック効果の磁気素励起版である.磁場を印加することによって,磁場に平行な方向を持つ磁気素励起の数を増やす.この素励起が熱を運ぶ場合,ゼーベック効果と同様に,その素励起が試料中で偏り,磁化勾配が発生する.この磁化勾配が磁気ゼーベック効果によるものである.これは,一般的に知られていない「スピンが熱を運ぶ」ことに基づく現象である. 1.低次元量子スピン系物質の単結晶育成 2本足梯子格子系Ca_9La_5Cu_24O_41は,150K周辺の温度においてスピンによる熱伝導がフォノンによる熱伝導と比較して非常に大きな物質であり,磁気ゼーベック効果を調べるために最適である.この物質の単結晶をTSFZ法により育成した.粉末X線回折,背面ラウエ写真,帯磁率,熱伝導率の結果から,単結晶の育成に成功したことを確認した. 2.磁気的ゼーベック効果測定装置の作製 μSRにより試料両端に磁化勾配が存在するかどうかを調べるための装置を作製した.この装置を用いることにより,磁場中のもと,試料両端に温度差を発生させてμSR時間スペクトルを調べることができる. 3.磁気的ゼーベック効果の測定 2007年3月に英国にある理研RALにおいて,試料に発生した温度勾配を観測するため,パルス貼SRの実験を行う予定である.本年度中に結果が明らかになる.
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Research Products
(4 results)