2006 Fiscal Year Annual Research Report
海水中溶存酸素の安定同位体比変動とその応用に関する研究
Project/Area Number |
18840014
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中山 典子 東京大学, 海洋研究所, 助手 (60431772)
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Keywords | 地球化学 / 水循環 |
Research Abstract |
本研究は、以前より海洋の化学トレーサーとして活用されてきた海水中の溶存酸素に同位体分析手法を用いて新しい光をあてた。従来のほとんどの研究において、海水中の酸素は濃度のみが測定されてきた。本研究では、濃度と同時に安定同位体比(δ^<18>O)を測定することにより、海洋の化学トレーサーとしての有用性を格段に高めようとしている。海洋における安定同位体比δ^<18>Oを使った研究は、これまでいくつかの報告がある。しかし、ごく限られた海域での研究報告があるのみで、データのばらつきも大きく、グローバルな分布や時系列変動は十分に明らかにされていない。本研究において、Dual-Inlet搭載-安定同位体比質量分析計(Finngan DELTA^<plus>XP)を結合した新たな分析システムを構築し、数permillレベルの精度で測定できる精密分析法を確立し、これを活用した。 確立した精密分析法により、海水中溶存酸素の安定同位体比(δ^<18>O)の変動が検出でき、海洋における生物活動や大気海洋間の気体交換、海水の混合の大きさを定量的に解析を行った。本研究の結果から、諸過程に伴う同位体比変動の特徴が明らかになり、海洋における物質循環サイクル研究に新しい視点を導入することができた。また、現在の海洋環境の変化における諸因子を正確に把握することは、過去の地球環境の変遷を考察する上でも欠くことが出来ない重要な情報を提供することが期待できる。
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