2006 Fiscal Year Annual Research Report
太古代及び原生代初期における大気化学と地球環境進化に関する基礎研究
Project/Area Number |
18840015
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
関根 康人 東京大学, 大学院理学系研究科, 特任助手 (60431897)
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Keywords | 大気化学 / 太古代・原生代 / 物質循環 / 地表環境 / 有機物エアロゾル / 炭素同位体比 / タイタン / 全球凍結現象 |
Research Abstract |
太古代と原生代の境界にあたる25-20億年前には、地球進化における最大規模の表層環境の変動があったことが知られている。特にこの時代には、海洋がすべて氷で閉ざされる全球凍結現象も生じた可能性が示されている。また、同時期に太古代のメタンを含む還元的な大気組成が、原生代以後の酸素を含む酸化的な組成へと変わったと考えられている。しかしながら、どうして全球凍結現象におちいったのか、どのように凍結状態から回復したのか、凍結現象が大気組成の進化にどのように影響したのかといった詳細に関しては、ほとんどわかっていない。 本研究では、室内実験と野外採取試料の分析を行い、原生代初期及び太古代の地表環境や大気進化を明らかにすることを目的とする。本年度は、野外採取試料分析に関して、試料の炭素同位体分析を行った。堆積物中に残された炭素同位体比は、当時の生物活動度や大気・表層環境の物質循環の様子を知る上で、重要な指標のひとつである。本研究では、アメリカ合衆国・ミシガン州・マーケット地域において採取した22億年前の全球凍結現象に相当していると考えられている氷河性堆積物とその上位の砂岩層、炭酸塩岩層の試料に対して、有機・無機炭素同位体測定を行った。その結果、氷河性堆積物中では、-25‰前後だった有機炭素同位体が、その直上の砂岩層で-40〜-55‰という地球史を通じても非常に低い値に急激にシフトしていることを発見した。このことは、氷河期の直後に大量のメタンハイドレートが崩壊し、暴走的に温室効果が高まった可能性を示唆している。また、砂岩層の上位の炭酸塩岩では、無機炭素同位体が+10‰前後に上昇している。このことから、氷河期後に光合成生物の活動が活発になったことが示唆され、メタンハイドレートの崩壊により誘発された温室状態で、光合成生物の活発化が引き起こされた可能性が考えられる。
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Research Products
(2 results)