2006 Fiscal Year Annual Research Report
不均一性に基づく機能的誘電特性の発現機構解明と制御
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18840017
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
谷口 博基 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 助手 (80422525)
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Keywords | 誘電体物性 / 光散乱 / 複合材料・物性 / 物性実験 / 共焦点顕微鏡 |
Research Abstract |
1.量子常誘電体SrTiO3は、従来熱揺らぎで説明されてきた強誘電体材料中において、量子揺らぎが物性の主要な役割を担う興味深い系として非常に高い関心を集めている。また最近、我々のグループによってSrTiO3に酸素同位体置換を施すことによって強誘電性が誘起されることが発見され、そのメカニズムの解明は現在強誘電体基礎研究の中心的な位置付けにある。本研究ではこの現象における不均一性の役割を明らかにすべく、臨界置換率以下の量子常誘電性試料における強誘電性ソフトモードの同位体置換率依存性をラマン散乱により調べた。その結果、強誘電性発現初期過程における前駆現象として非強誘電性の極性クラスターの成長を明らかにし、それに続いて強誘電性クラスターが発現すると言う段階的な強誘電相発現機構を示した。また本研究は、現在量子臨界点における新奇な不均一性誘起相共存状態という観点から研究が進められており、量子相転移における本質的な不均一性誘起現象としてその実体が解明しつつある。 2.近年、アモルファス化強誘電体は新たな非線系光学材料として大きな注目を集めてきた。しかしながら従来のアモルファス化強誘電体作成法であるツインローラー急冷法は、試料品質の問題の為実用化の可能性は低く、さらに物性の試料依存性により、基礎物性に関しても未解明の部分が多かった。それに対して本研究では、ガスジェット浮遊炉を用いた無容器急冷法により、新規強誘電体として大きな注目を集めているBaTi2O5を母材料とした高品質アモルファス材料の合成に成功した。さらに顕微ラマンを用いた結晶化過程のその場観察を用いて、アモルファス化BaTi2O5が複数の準安定相を経由した逐次的な結晶化過程を経て、安定なBaTi2O5結晶相へと相変化することを明らかにした。本研究の成果は、高品質アモルファス化強誘電体中に高い非線系光学特性をエンジニアリングした、ナノ強誘電体結晶分散アモルファス材料を開拓する為の第一段階となるものである。
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Research Products
(5 results)