2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18840018
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
若槻 聡 金沢大学, 自然科学研究科, 助手 (10432121)
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Keywords | 代数学 / 整数論 / 保型形式 / 次元公式 / 跡公式 |
Research Abstract |
本研究の具体的な目標は、ジーゲルカスプ形式の空間の明示的次元公式を低いウェイトの2次の場合と、レベルが3以上の主合同部分群に関する一般次数の場合を決定することである。一般次数の場合は予想が与えられていえう。本年度・研究実施計画の通り、この目標を達成するための最初のステップとして、本研究は跡公式の一般論であるアーサー跡公式を学んだ。従来の次元公式の計算をアーサー跡公式と比較することで、我々の従来の計算を一般論によって解釈する必要がある。我々はドイツのビーレフェルトに行き、明示的計算を目的とする跡公式の一般論の研究者であるHoffmann氏とその比較について議論した。その結果、本研究では、その研究打合せにより、従来の計算を一般論によって解釈することができるようになった。具体的には、ダンピングファクターを(G,M)-families、Moritaの無限和と積分の交換での計算をArthurのtruncation operators、軌道積分やダンピングファクター付き軌道積分の値を軌道積分のフーリエ逆変換による解釈などが挙げられる。特に、次元公式におけるユニポテント元の寄与の計算を、Arthurの重み付き軌道積分の理論によって解釈できたことが重要である。ただし、我々の扱うテスト関数はコンパクトサポートを持たないため、我々の跡公式は一般論の範囲外である。しかし、本質的に同じものであるため、我々の跡公式は一般論と密接に関係している。そして、この一般論からの解釈によって、我々は研究目標である具体的な計算に着手することができるようになった。
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