2006 Fiscal Year Annual Research Report
液晶性物質を用いたウエットプロセスによる有機多結晶薄膜トランジスタの研究
Project/Area Number |
18850008
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
飯野 裕明 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 助手 (50432000)
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Keywords | 液晶 / 多結晶 / 有機トランジスタ / 過渡光電流測定 / 電荷輸送 / 移動度 / スピンコート |
Research Abstract |
今年度は(1)電極からの電荷注入が容易な液晶材料の開発、(2)スピンコート法による多結晶薄膜作製法の開発、に着手した。 (1)液晶材料開発は円盤状、棒状液晶それぞれ検討した。円盤状液晶においてはフタロシアニン液晶(8H_2Pc)に注目し、ウエットプロセスによる精製である再結晶法を用いサンプルを精製し、液晶相で正孔・電子がそれぞれ0.2、0.3cm^2/Vsの移動度、多結晶状態においては0.05-0.2cm^2/Vsの正孔移動度を持つことを過渡光電流測定法により明らかにした。この液晶材料は100℃以下で液晶相を示し、電界強度5x10^4V/cmの低電界から金電極から正孔の注入が容易に起きることより、このフタロシアニン液晶(8H_2Pc)はデバイス用材料の有力な候補になると考えられる。棒状液晶においてはオリゴチオフェン(α-4T)液晶(6-QTP-6)に注目した。オリゴチオフェン液晶においても再結晶法により精製したサンプルにおいて、液晶相において正孔移動度が0.05-0.08cm^2/Vsであることが過渡光電流測定法よりわかった。 (2)多結晶薄膜作製法の開発においては、スピンコート法による均一な結晶薄膜の作製を試みた。フタロシアニン液晶においては一般的な有機溶媒でスピンコートを行ったところ、表面粗さ(RMS値)が5nm程度の均一な薄膜が容易に得られた。この特徴は他の円盤状液晶でも同様でありアルキル鎖を多数持つことで均一になったものと考えられる。棒状液晶も同様にスピンコートを行ったが、膜とはならず微結晶の凝集体(いわゆる粉状態)になった。そこで、オーブン内にてスピンコートを行い液晶相温度で製膜を行った結果、均一な薄膜が作製できた。今後、新規購入したスピンコートを赤外線加熱で完全に温度制御を行いながらスピンコートを行うことで均一な結晶薄膜作製を試みる。
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Research Products
(2 results)