2006 Fiscal Year Annual Research Report
環境調和型触媒を用いた不活性な炭素ー炭素多重結合へのヘテロ原子導入反応
Project/Area Number |
18850015
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
米山 公啓 広島大学, 大学院工学研究科, 助手 (80432681)
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Keywords | 鉄塩 / 均一触媒 / 不活性オレフィン / アルコール / カルボン酸 / 環状エーテル / 環状ラクトン |
Research Abstract |
触媒的ヒドロアルコキシル化反応はエーテル化合物を効率良く合成できる有用な反応である。特に、環状エーテル骨格は様々な生理活性物質に含まれ、その合成価値は非常に高い。しかし、これらの合成に用いられる触媒は高価あるいは毒性の高い貴金属錯体が主に用いられ、これらは副反応(オレフィン異性化及び酸化的環化反応)を併発する。本年度は、我々が提唱している環境調和型触媒である鉄塩の特異な触媒活性を生かした分子間あるいは分子内でのヒドロキシル基及びカルボン酸の不活性オレフィンへの付加反応を検討し、以下のような結果を得た。 (1)触媒量のFeCl_3存在下、ヒドロキシオレフィンまたはカルボキシルオレフィンをジクロロエタン溶媒中、80℃で反応を行ったところ、テトラヒドロフラン誘導体とラクトンをそれぞれ高選択的かつ高収率で得られた。本触媒は代表的な他の遷移金属触媒と比べ短時間で反応が完結する。 (2)FeCl_3にAgOTfを添加するとカチオン性鉄錯体が発生し、これはFeCl_3よりも遥かに高い触媒活性を示すことが明らかになった。詳細な反応機構については現在調査中であるが、HCIやTfOH等の酸触媒を用いた場合、脱水反応等の副反応が併発するのに対し、本反応では副生成物が一切観測されない事も明らかになった。 (3)上述したカチオン性鉄錯体は分子間反応にも利用する事ができ、特に、環状オレフィンへのカルボン酸の付加反応に関しては、これまでに周知な錯体触媒の反応性を凌駕し、短時間かつ高収率で付加体を得る事ができた。 このような得られたデータを踏まえ、最終年度となる来年度は鉄塩のπ酸としての性能を明らかにすると共に、本鉄触媒を用いた新規有機合成反応の開発についてさらに検討を進める。
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Research Products
(3 results)