2006 Fiscal Year Annual Research Report
イオン液体中で特有の金属イオン溶媒和クラスターの構造化学と分析化学的展開
Project/Area Number |
18850017
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
藤井 健太 九州大学, 高等教育開発推進センター, 助手 (20432883)
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Keywords | イオン液体 / 金属イオン溶媒和 / 液体構造 / 特殊反応場形成 / 分離分析 |
Research Abstract |
本年度は、イオン液体中の金属イオン溶媒和(金属イオン溶媒和クラスター)に関する構造化学を軸に研究を遂行した。 イオン液体,1-ethyl-3-methylimidazolium bis-(trifluoromethanesulfonyl)imide(EMI^+Tf_2N^-)中のLi^+イオンの溶存状態をRaman分光法により調べたところ、Li^+イオンには2つのTf_2N^-アニオンが配位していることが明らかとなった。ここで、イオン液体中のTf_2N^-アニオンは2種類の異性体が平衡で存在すること(C_1およびC_2構造)、両異性体のdipole momentは4.4b(C_1),0.3D(C_2)と大きく異なることがこれまでの研究で分かっている。Ramanスペクトルの詳細な解析により、溶媒和圏内のTf_2N^-アニオンはC_1構造が有利であることが明らかとなり、これはLi^+とTf_2N^-(C_1)の間にイオン-双極子相互作用が働くためと考えられる。さらに、[Li(Tf_2N^-)_2]クラスターについて分子軌道計算を行ったところ、2つのTf_2N^-が酸素原子で二座配位する溶媒和構造となることが分かった。 次に、EMI^+Tf_2N^-中の遷移金属イオン(Mn^<2+>,Co^<2+>,Ni^<2+>,Zn^<2+>)の溶媒和構造をRamanおよびIR分光法により調べた。これらの金属イオンへのTf_2N^-アニオン配位数は約3であった(Mn:2.6,Co:2.8,Ni:2.9,Zn:2.6)。また、Co^<2+>,Ni^<2+>を含む溶液に対し、紫外可視吸収スペクトルを測定したところ六配位八面体構造に特徴的なスペクトルを示した。よって、EMI^+Tf_2N^-の遷移金属イオンは、3つのTf_2N^-が酸素原子で二座配位し、六配位八面体構造を形成して溶存することが示唆された。
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Research Products
(6 results)