2006 Fiscal Year Annual Research Report
強い神経成長因子(NGF)合成促進作用を有するサイアタン類の不斉全合成研究
Project/Area Number |
18850023
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
渡邉 秀昭 早稲田大学, 理工学術院, 助手 (60434312)
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Keywords | 合成有機化学 / 不斉合成 / 生物的合成手法 / 選択的合成・反応 / 天然薬物学 / 生物活性物質 / 有機化学 / 合成化学 |
Research Abstract |
Cyathane類は共通する5-6-7員環炭素骨格(cyathane骨格)を有し、その複雑な構造と非常に高い生物活性のため世界から注目されている。今年度は、erinacine B、scabronine Aとcyanthiwigin Fの不斉全合成研究を行い以下の研究成果をあげることができた。 1.今年度の最重要課題であったerinacine Bの全合成研究において、アグリコン部位と糖部位のβ-グリコシド結合形成反応に続く、C11位の水酸基を脱離基として利用した生合成類似の分子内SN2'反応によるD環の立体選択的構築に成功し、erinacine Bの世界初の全合成を達成した。その合成ルートは、不斉触媒反応により不斉四級炭素を有する新規キラルビルディングブロックスを迅速かつ大量に創製する手法を含むため、その利用によりerinacine Bに加えerinacine A, C, Iやcyathin A3といったcyathane類及び多様な構造を有する類縁体・誘導体の不斉全合成を戦略的に達成することができ、独自性が高い不斉全合成研究を提示することができた。 2. Scabronine Aの特徴であるカルボキシル基を有する不斉四級炭素の構築を、不斉四級炭素に酸素官能基を有するC1ユニットが二つ置換したキラルビルディングブロックを触媒的不斉分子内シクロプロパン化反応により創製することで解決した。その後、erinacine類と同様の変換を行いcyathane骨格の合成に成功した。現在、高度に酸素官能基化されたC環部位の構築を検討中である。 3. Cyanthiwigin Fの合成は、cyathane類と同様の合成ルートを用いて三環性骨格の構築に成功したが、ケトン部位の官能基変換が困難であることがわかった。現在、新たな鎖状のキラルビルディングブロックを用いた収束的な合成ルートを検討中である。
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[Journal Article] Enantioselective Total Synthesis of (-)-Erinacine B.2007
Author(s)
Watanabe, H., Takano, M., Umino, A., Ito, T, Ishikawa, H., Nakada, M.
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Journal Title
Org. Lett. 9
Pages: 359-362