2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18850025
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
石塚 智也 分子科学研究所, 相関領域研究系, 助手 (20435522)
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Keywords | 構造・機能材料 / 自己組織化 / 磁性 / 超分子化学 / 光物性 |
Research Abstract |
本研究では、拡張π電子系を組み込んだ新規な遷移金属錯体を合成し、π共役系配位子間のπ-πスタックにより分子を一次元上に並べた新しい集積化金属錯体を構築、超分子相互作用により誘起された物性・機能の探索を目指している。特に、分子間相互作用を用いた遷移金属錯体の高度な集積化による、新しいスピンクロスオーバー(SCO)制御の手法開拓が、本研究の最重要目標に位置づけられる。金属サイト問の協同作用を目指したSCO錯体の研究では、これまで主に橋かけ型配位高分子が利用されてきたが、本研究のように超分子相互作用をドライビングフォースとして用いたSCOの開発は、ほとんど例がない。本研究では、サレン配位子を基盤に超分子錯体を合成する計画である。サレン配位子は窒素と酸素を配位原子とする平面状四座配位子であり、これまでに様々な誘導体が合成されている。特に、種々の金属と高い錯形成能を有するため、遷移金属触媒や金属集積型アレーなどを構築する上で極めて魅力的な素材である。 本年度は、まず超分子錯体へと発展させる手がかりとなる、いくつかのサレン配位子単量体を合成した。具体的には、水酸基を有するサレン錯体を単量体に用いて、このサレン錯体を表層に有するデンドリマー錯体を合成した。架橋ユニットとしてベンジロキシ基を有するイソフタル酸を使用し、各サレン錯体間の連結にはエステル結合を用いた。その結果、サレンが2、4個と結合したデンドロンの合成に成功した。またこれらをベンゼンやヘキサフェニルベンゼンなどのコアに結合し、3、6、12個のサレン錯体を有するデンドリマーを合成した。
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