2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18850025
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
石塚 智也 Institute for Molecular Science, 物質分子科学研究領域, 助教 (20435522)
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Keywords | 構造・機能材料 / 自己組織化 / 磁性 / 超分子化学 / 光物性 |
Research Abstract |
本研究では、拡張π電子系を組み込んだ新規な遷移金属錯体を合成し、π共役系配位子間のπ-πスタックにより分子を一次元上に並べた新しい集積化金属錯体を構築、超分子相互作用により誘起された物性・機能の探索を目指している。特に、分子間相互作用を用いた遷移金属錯体の高度な集積化による、新しい磁性・光機能性材料の開発が、本研究の最重要目標と位置づけられる。本研究では、サレン配位子を基盤に超分子錯体を合成する計画である。サレン配位子は窒素と酸素を配位原子とする平面状四座配位子であり、これまでに様々な誘導体が合成されている。特に、種々の金属と高い錯形成能を有するため、遷移金属触媒や金属集積型アレーなどを構築する上で極めて魅力的な素材である。 本年度は、様々なπ共役分子を中心核に有するサロフェン型の多核平面錯体を合成し、πスタッキングに基づくその超分子集積化挙動を研究した。特にトリフェニレンを中心核に有する三核亜鉛(II)錯体と銅(II)錯体は、デカリンなどの炭化水素溶媒中で、物理ゲルを与えることが示された。FE-SEMやXRD測定の結果から、亜鉛(II)錯体と銅(II)錯体では、ゲル中の超分子構造が大きく異なることが示された。すなわち、亜鉛(II)錯体では、軸配位とπスタックに基づく二次元層構造を示したのに対し、軸配位を示さない銅(II)錯体では、一次元πスタックに基づくロッド構造を示した。またそれぞれの錯体で、特徴的な発光特性、磁気相互作用を観察した。
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