2006 Fiscal Year Annual Research Report
チタン系バイオマテリアルの特異な熱物性による新機能化
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18860011
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
仲井 正昭 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (20431603)
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Keywords | 生体材料 / チタン合金 / 熱膨張 |
Research Abstract |
生体用β型チタン合金として開発されたTi-29mass%Nb-13mass%Ta-4.6mass%Zr合金(TNTZ)は、無毒性・非アレルギー元素のみから構成され、低弾性率でありながら、優れた機械的性質も兼ね揃えていることから、次世代の硬組織代替材料として有望視されている。最近、TNTZの基礎熱物性を調べる中で、冷間圧延材において、温度上昇に伴う膨張がほとんどない、あるいは温度上昇により膨張せず収縮するといった特異な熱膨張を示す場合があることを見出した。この性質を制御することができるようになれば、TNTZの用途は、硬組織代替材料のみならず、医療用デバイス等へも拡大される可能性がある。そこで、本研究では、TNTZの特異な熱膨張の発現条件の明確化とその機構解明を目的にしている。 本年度は、以下の成果を得た。 (1)チタン合金の中でも冷間加工が可能な純チタンと代表的なβ型チタン合金であるTi-15mass%V-3mass%Cr-3mass%Sn-3mass%Al合金の熱膨張測定を溶体化まま材および冷間圧延材について行った。その結果、両材料ともに、溶体化まま材および冷間圧延材を問わず、特異な熱膨張は認められなかった。 (2)冷間圧延条件として圧下率を系統的に変化させ、TNTZの熱膨張測定を行った。その結果、圧下率が高い場合には収縮し、圧下率の低下とともに膨張も収縮もしないようになった。さらに、同じ圧下率のTNTZ内においても、表面に近い部位から採取した試料のほうが、中心部から採取した試料よりも、大きく収縮した。
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