2006 Fiscal Year Annual Research Report
非線形線路を用いたテラヘルツ帯パルス光源の研究開発
Project/Area Number |
18860015
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
楢原 浩一 山形大学, 工学部, 助教授 (00422171)
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Keywords | 非線形線路 / 共鳴トンネルダイオード / バルス生成 / THzエレクトロニクス / 電圧制御発振器 / スイッチ線路 / パルス圧縮 / 分布定数回路 |
Research Abstract |
本研究は非線形線路を用いた信号処理によってピコ秒以下程度の幅の電気パルス信号を生成することを目的としている。唯一のしきい値電圧を持つ仮想的なスイッチを装荷した伝送線路においては、入カパルスはその電圧レベルがスイッチのON状態にあるとき指数関数モードに、OFF状態にあるとき正弦関数モードによって伝搬される。両モードの速度整合条件からパルスエッジはその波長がきわめて短いものに成長することが要請される。この線路の分散のみよる性質によって著しいパルス圧縮を実現し極短電気パルス信号を生成することを原理としている。当期においては、スイッチを具現化する電子デバイスとして共鳴トンネルダイオード(RTD)を考え実践性の可否を判断することを念頭に議論した。汎用回路シミュレータにおいてInGaAs/InP系RTD(電流密度1.4×10^5A/cm^2)の等価回路モデルを作成の上用い、パルス幅5ns入力に対して出力パルス幅2psを設計上確認するに至った。来年度に向けての試作の用談を進め、また測定に際して必要となる備品購入も終了した。これは、電気光学サンプリングにおいて電気信号源を生成する目的でフォトダイオード(ニューフォーカス社製25GHz帯域)、ICへの信号印加用のフローブヘッド(カスケード社製40GHz帯域)を代表とする。当初計画の着実な遂行に向けた事前準備を十分に果たしたものと理解している。さらに、研究の過程で同一の非線形線路において興味深い波動伝搬現象が確認された。ステップ状パルスの入力によってそのエッジが線路上を往復伝搬するというものである。入カステップパルス振幅を変化させると往復周期が変化するため広義の電圧制御発振器として動作することを基本原理、実践設計において確認することに成功した。研究の副産物であるが非常に有意義と認められるため学術誌、会議などを通じて積極的にアピールを行った。試作に際しては提案している非線形線路の連続光源としての価値も確認する予定である。
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